ひとつの物理サーバのパワーを仮想化で切り分けて提供するのでなく、最初から超安価な専用サーバをユーザに提供するScaleway | TechCrunch Japan

フランスのホスティングの老舗Online.netがこのほどリリースした最新プロダクトScalewayは、クラウドホスティング全盛の今日にあって、異色の野獣だ。つまりこれは、Amazon Web ServicesやDigitalOceanなどなどのVPSプロバイダと直接競合する仮想クラウドホスティングのインフラストラクチャではなくて、ARMのチップセットを搭載した超小型の物理サーバなのだ(上図)。

そのため同社は、ホスティングの料金を劇的に下げることができる。SSD付きのベアメタルサーバで、RAM 2GB、ストレージ50GBの基本仕様が、月額わずか3ドル40セント(€2.99)だ。これは同社のこれまでの通常のホスティングサービスならは11ドル21セント(€9.99)のサービスに相当する。

既存ユーザもScalewayに切り替えるので、同じ低料金が適用される、と同社はツイートしている。このベアメタルサーバに使用しているARM v7チップセットは元々スマートフォン用なので、電力消費もきわめて少なく、またスペースも冷却用電力もあまり要しない。今同社では、912基のScalewayコンピュータを一つのラックに収めている。

この専用サーバがさらに仮想化を行う、というサービスのアーキテクチャなので、きわめて効率的でもある。ユーザから見た形は、4コアCPU、専用IP、200Mbit/sの定額制の帯域、となる。AWSなど通常のVPSのように、ひとつの物理CPUのパワーを複数のユーザが分有し、それぞれ自分の仮想マシンとして利用する、という形ではない。物理CPUがそれぞれのユーザの専用機だ。

使い方、使い勝手は、従来のホスティングサービスと何ら変わらない。インスタンスを始動してその上にディストリビューションやアプリケーションをインストールする作業は、わずか数クリックで完了する。すでにARMバイナリのアプリケーションはかなり多いが、そのほかの有力アプリケーションはScalewayのチームがポート作業を行った。ディストリビューションは、DebianもUbuntuもFedoraもARM版がすでにある。〔RHELはプレビュー段階?〕

ストレージの増設やAmazon S3の統合は、数クリックで行える。サーバモデルは一つなので、RAMやCPUパワーを拡張したければ既存のイメージで新しいサーバをブートアップし、それをそのほかのサーバと協働させる。目下サーバはすべて、フランスにある同社の親会社Iliadのデータセンターでホストされている。

最初、Scalewayは研究プロジェクトだった。しかしその後、クラウドホスティング(VPS)に代わる技術として、その将来性が着目されるようになった。今回は劇的な料金値下げが実現し、既存勢力との本格的な勝負が可能になった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa