埼玉県川口市のアパートで祖父母を殺害し現金を奪ったとして強盗殺人罪などに問われ、一審さいたま地裁で懲役15年の判決を受けた事件当時17歳の少年(19)の控訴審判決が4日、東京高裁であった。秋葉康弘裁判長は一審判決と異なり、母親(42)が殺害を指示したと認定したが、結論自体は相当と判断し、弁護側控訴を棄却した。

 秋葉裁判長は「何も分からずに母親に従っていたわけではなく、自ら判断し行動していた」と指摘。少年は教育の機会を与えられず、公園やテントで生活するなど劣悪な環境で育ち、母親に逆らえない心理状態で、少年院送致が相当とする弁護側主張を退けた。

 その上で、極めて重大な犯行で、母親の指示や少年の心理状態を考慮しても、一審判決を見直す必要はないと判断した。

 判決によると、少年は昨年3月26日、母親の指示を受け川口市のアパートで祖父=当時(73)=と祖母=同(77)=を包丁で刺すなどして殺害。母親と共謀し、現金8万円とキャッシュカードなどを奪った。