Estimoteは屋内位置情報システムをビーコン技術と「ニアラブル」のシールで構築する | TechCrunch Japan

屋内位置探知は遥か先にある夢で、私たちはまだそこに辿り着いていない。Wi-Fiのトラック技術や他の技術をもってしても、法人から一般ユーザーまでそれぞれが屋内施設のどこにいるか把握するのは難しい。しかし、ビーコン技術を扱うポーランドのスタートアップEstimoteのチームはその夢を実現する技術の開発に成功したかもしれない。

「Nearables(ニアラブル)」と呼ぶシールと一般的なビーコン技術を利用することで、Estimoteは屋内での人や物の動きをトラックすることができるという。どういう仕組みだろうか?

まず、ユーザーが承認しなければトラックされることはない。ネットワークに許可を与えると、ユーザー自身の地図上の位置、建物内にある物の位置、友人や同僚が屋内のどこにいても現在位置が分かる。ハリーポッターに登場する「忍びの地図(Marauder’s Map)」のような機能だが、物語のように猫を検知することはできない。(ニアラブルを猫に付ければできる。)

システムは3つ以上のビーコンとの三角測量で端末の位置を検知するという。彼らの屋内位置検知アプリはここから ダウンロードして試すことができ、詳細はここから確認できる。先日Estimoteは、数年内に屋内位置検知を店舗に導入する予定の Targetとのパートナーシップを発表した。

Estimoteのブログ投稿より:

ニアラブルの位置をどのように検出しているのか聞きたいのでしょう。まさにそこにEstimote Cloudの魔法をかけています。屋内ロケーションアプリを使用しているユーザーが、アプリを起動した状態で二アラブルのシールの検知範囲に近づくと、ニアラブルの位置がクラウドに保存されます。(今後、アプリをバックグランドで起動した状態でも機能するようになる予定です。)二アラブルがプライベート設定でも機能します。プライベート設定の場合、二アラブルの所有者にしかその位置は表示されませんが、他のユーザーも受動的に二アラブルのロケーションを更新しています。

Estimoteの共同ファウンダーのSteve Cheneyは更に補足する。「私たちは物理世界における検索を可能にしました。二アラブルを貼った物を文字通り検索することができます。二アラブルの設定が「公開」か、それがユーザーの所有物であれば、その場所が地図に表示されます。これは魔法のようです。ユーザーが屋内ロケーションアプリを起動した状態でシールの検知範囲に近づくと、二アラブルの位置がクラウドに保存されます。将来的には私たちのSDK を搭載した全てのアプリでも同様に機能する予定です。プライベート設定のニアラブルでも受動的に位置が更新されます」。

「今日の私たちからの重要なメッセージはEstimoteはビーコン企業ではないということです。Estimoteはフルスタックのロケーション情報を活用するプラットフォームです。ハードウェア、クラウドソフトウェア、デバイスのSDK、データサイエンスの多岐に渡る技術を統合し、開発者にとって親しみやすい、ロケーション情報とその状況の情報が加わったプラットフォームを構築しました」。

屋内位置検知技術の発展を目指すAppleやGoogleの他にも数社が競合するシステムを製作している。これは解決するのが難しい問題なのだ。最終的な目標は、ありとあらゆるものにビーコン技術を搭載することだ。

Estimoteは今後テクノロジーの小型化を進め、データポイント、つまり位置情報の精度を向上を図る。店舗の商品をトラックすることで、買い物客がどこに長く滞在し、どこで立ち去るかが分かるようにだろう。いずれ人が何を考えて、要冷蔵のホットドックのパックをクッキーの棚に戻すかまで分かるようになるかもしれない。これを理解するには、人類が保持しているテクノロジーより遥かに高性能なテクノロジーが必要なのかもしれないが。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter