「お疲れ様」は本当に目上の人に使ってはいけないの? | ニコニコニュース

「お疲れ様」は本当に目上の人に使ってはいけないの?
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先日、大物タレントのタモリが番組内で「お疲れ様ですというのは元来、目上の者が目下の者に使う言葉」と発言し、物議を醸している。「教えて!goo」にも過去に「『お疲れ様』は目上の人には使えない?」という質問が寄せられており、大いに盛り上がったので紹介しよう。

「基本的に、ご苦労様でもお疲れ様でも目上の人に使うとねぎらいの意味になり不適切と思います」(goofさん)という意見や、一方で「『ご苦労様』は上から下に対して使われます。目上に対して使うならば『お疲れ様』」(hiruminさん)など真逆の意見があるが、「現代社会は立場の上下に関係なく、なんらかの『労わりの気持ち』を言葉で表すことが必要な時代なのだと思います」(neues_knifeさん)といった「許容すべき」との考え方も。

様々な意見があるので混乱してしまうが、正解はあるのだろうか。企業研修などの事業を手掛ける株式会社オフィス・ウィズ代表、竹内和美さんに伺った。

■「ご苦労様」「お疲れ様」は両方使えない?

「日本社会は古来より、目上の人をいたわることは失礼にあたると考えました。したがって、『お疲れ様』『ご苦労様』を使うべきではないと言う考えが一般的でした。上司から『ありがとう』と言われると、『とんでもないことです』と、恐縮した気持ちを伝える言葉を返していました。それほど、上長を敬う文化が根強かったのでしょう」(竹内さん)

こうした背景を踏まえると、年輩の上司の中には、部下からの「お疲れ様」を失礼だと感じる人が居ても不思議ではないだろう。でも、代わりに何と言えば良いのだろうか?

「例えば、廊下で日中すれ違いざまに上司から『ご苦労様!』と軽やかに言われたような場合、立ち止まって笑顔でアイコンタクトし、『はい!』と丁寧にお辞儀をしてやり過ごしてもかまいません。仕事を終えて職場を出るときであれば、『お先に失礼します』と挨拶をして、軽いお辞儀をして退出すれば良いのです。上司が外出先から電話をしてきたような場合であれば、『何かお手伝いすることはありますか?』など、すぐに用件を伺い会話を進めて構いません」(竹内さん)

すぐに用件を話すのは何となくきまりが悪く感じるが、電話は通話料金がかかる手段なので、効率よく使い、正確に業務を遂行すると言う心遣いが必須なのだという。

■現代社会では容認されているという見方も

一方で、平成17年に文化庁が行った「仕事終わりに目上にどのような言葉をかけるか」というアンケートの結果、およそ69%の人が、「お疲れ様」を使っているため、現代社会ではそれを容認してはどうかという風潮になっているそうだ。

「どうしても気持ちが落ち着かないのであれば、これらの背景を知識として持ち合わせたうえで『お疲れ様です』を使ってください。しかし、これが慣例となって、単なる合言葉にしないように心がけましょう」(竹内さん)

単なる合言葉にしない、とはどういうことなのだろう?

「日本人は、会話は『言葉のやりとり』をすることだと思っていますが、会話は自分の気持ちを言葉と態度で示すことで相手に伝えきる方法になるもの。『お疲れ様』や『ご苦労様』は、本来相手をねぎらうという思いやりを表現している美しい言葉です。まずは自分の気持ち、つまり相手をねぎらいたいという気持ちを大切にしてください」(竹内さん)

竹内さんは、我々は「お疲れ様」を「何か言葉を返さなければならない」と考えて使っているのではないか、と指摘する。先のアンケートにもあるように、先輩が職場で使っている一般的会話を見て、お手本として習うからだ。

「良いこと・悪いことという判断を避けて、言葉は生活や文化によって変わることを受け入れるという柔軟な姿勢で、安心して過ごしましょう」(竹内さん)

単語が持つ意味だけに縛られるのではなく、相手や時代、文化によって柔軟に対応できるようになると良さそうだ。

●専門家プロフィール:竹内 和美(たけうち かずみ)


(株)松坂屋名古屋店にて販売・秘書・広報の業務を経験。1999年「オフィス・ウィズ」を設立。ロールプレイング中心の実践型研修やキャリアカウンセリングに定評があり、企業や個人からの講師依頼も多数。

(酒井理恵)

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)