“差別表現”も「忠実に再現する」と公言!藤子・F・不二雄の幻アニメ『ジャングル黒べえ』復活と、東映ビデオの決意 | ニコニコニュース

『東映ビデオ』公式サイトより。
おたぽる

 藤子・F・不二雄氏原作のアニメ『ジャングル黒べえ』と『ウメ星デンカ』が、放送開始から40年以上の月日を経て、遂に初のパッケージ化! 『ジャングル黒べえ』は今年12月、『ウメ星デンカ』は来年1月にDVD-BOXが発売される。発売情報を受け、往年のファンからは『ジャングル黒べえ』に注目が集中。その焦点は“差別表現”のようだ。

『ドラえもん』『パーマン』など、有名すぎる作品を数多く生み出してきた日本を代表する大先生・F氏。『ジャングル黒べえ』は、同氏が描いたファンタジーギャグマンガで、2010年に愛蔵版『藤子・F・不二雄大全集』(小学館)の1作として刊行された。同作を原作としたアニメは、演出・出崎統氏、絵コンテ・吉川惣司氏&石黒昇氏、作画監督・椛島義夫氏&杉野昭夫など、黎明期の東京ムービー(現:トムス・エンタテインメント)作品を支えたスタッフたちが一堂に会して手掛けた、ハイクオリティな作品だ。

 同作の主人公はピリミー国の王様の息子・ジャングル黒べえ(声:肝付兼太)。黒べえを中心に、毎度てんやわんやの騒動を起こす内容で、当時の子どもたちを夢中にさせた。なお、「ウラウラ」「ベッカンコ」「これジャングルの常識!」など、“黒べえ語”も大流行。

 そんな同アニメが、再放送以来、実に20数年ぶりに復活とあって、ファンは「うらうら!べっかんこ!」「ウ~ラウラウラウラ~ベッカンコ~」と“黒べえ語”を用いて歓喜。

 しかし同時に、「差別的表現で放送禁止になったって聞いたことあるけど」「また、どこぞの団体が騒ぎそうだ」「いろいろうるさいやつ出てきそうだな」など、人種差別を懸念する声も上がっている。というのも、子ども向け絵本『ちびくろサンボ』(岩波書店など)が差別的だと抗議を受けて一時絶版になり、『ジャングル黒べえ』もそれに倣い自粛したという話があったためだ。

 かつて、アニメ『あしたのジョー』や『妖怪人間ベム』が再放送されたものの、放送禁止用語が多すぎて“ピー”音だらけになったり、ファンをがっかりさせる事例も起きている。「『ジャングル黒べえ』もそうなってしまうのでは?」と疑ってしまうファン心理も頷ける。

 ただ、『ジャングル黒べえ』の発売元である東映ビデオの公式サイトには、「本作品は、本編の一部に現在では不適切と思われる表現が含まれている箇所がございます。しかし作品の歴史的価値を尊重し、なるべく作品完成時の状態を忠実に再現することを優先して収録しております」と記載。当時のまま収録されていることが、充分に期待できる。

 しかし、「初回生産限定につき、ご予約いただかないと入手困難になる場合がございます」とも書かれているので、是が非でも手に入れたいファンは、早々に予約したほうが良さそうだ。これジャングルの常識である。