五輪エンブレム盗作問題で佐野研二郎氏輩出の多摩美大生が悲鳴「就職活動に影響が……」 | ニコニコニュース

閉鎖された『東京オリンピック2020エンブレムページ』より
日刊サイゾー

「もうやめてくれ……」

 続々と盗用が発覚して五輪エンブレムの白紙撤回にまで至ったデザイナー、佐野研二郎氏のパクリ騒動で、佐野氏が教授を務める母校・多摩美術大学でも盗用疑惑が持ち上がり、同大学の学生たちが悲鳴を上げている。中には「佐野氏のせいで就職活動にも影響が出ている」と話す学生もいるほどだ。

 同大学で発覚した新たな疑惑は、海外でも受賞歴がある広告ポスターのシリーズ「MADE BY HANDS.」の1作品で、メガネの画像など2点が他からの無断使用だった。

 デザインは佐野氏が代表を務める事務所「MR_DESIGN」所属のデザイナーで昨年同大学を卒業した香取有美氏によるもので、佐野氏はシリーズの監修者。画像を勝手に使われたサイト運営者は、同大学や佐野氏側から連絡を受けていないとしている。

「MR_DESIGN」はこの件に関して「無断流用したというのは事実無根」とし、あくまで独自に撮影した画像を使用したとしているが、これまでの数々の盗用発覚の中にあっては説得力に欠ける。

 母校で起こった事態にショックが大きいのは多摩美で、佐野氏が1996年に卒業したデザイン科は中でも大手広告代理店への入り口となる業界エリートコースという位置付けだったが、いまやそのイメージはガタ落ち。

 ある男子学生は「佐野さんは学生の憧れでもあったんですが、彼と同じく多摩美のデザイン科出身で博報堂に入るようなことになったら、疑惑のイメージしか持たれず、何か発表してもネットユーザーにいちいち指摘されることになりそうで……」と顔を曇らせる。

 就職活動中の女子学生からも「企業の担当者から『今、大変だねえ』と、まるで私たちの問題であるかのように言われたんですよ。佐野さんの出身校だからダメだとは言われてないですけど、悪影響がないとは言いきれない。本気で海外の大学にでも転校したい気分」という話が聞かれた。

 佐野氏は栃木・日光江戸村のキャラクターデザインで頭角を現し、2008年に独立。サントリーやトヨタをはじめとする大手企業の広告などを次々に請け負う売れっ子で、五輪エンブレム採用は業界の頂点に立ったような栄誉だった。

 昨年4月、新設の統合デザイン学科の教授に就任していた佐野氏だが、来年4月からも専門科目の授業を担当予定で「ここでは五輪エンブレムの話もしてもらう予定だった」と同大学関係者。しかし、いまや同大学も「本人から事情を聴いて理事会で判断する」と予定の白紙も匂わせるほどで、キャンパス内はまるで“嫌・佐野”状態。

「ライバル校の武蔵野美術大学の学生が躍起になってパクリを探しているというウワサが流れて、それを武蔵美の学生に聞いたウチの学生がいて、ケンカになる事態もありました。佐野さんのニュースを見るたび暗い気分になってしまって、もうやめてくれって思います」

 そんな中、佐野氏の過去の卒業制作の優秀作品の一部に盗用が指摘されたり、佐野氏の在学中作品にも盗作があったという話まで聞かれ始めていることから「パクリは多摩美の伝統」などという風評も広がっている。無関係な卒業生、在学生には気の毒だが、学ぶべきものを学ばせていなかったのかという大学への疑念が強まるのは止められない。
(文=ハイセーヤスダ)