女版・江頭2:50!? 金田朋子の“やりすぎない”ぶっとび芸 | ニコニコニュース

バラエティ番組に引っ張りだこの声優・金田朋子 (C)ORICON NewS inc.
オリコン

 「ヘリウムガスを吸っても声が変わらない」(本人談)という超高音アニメ声とぶっ飛んだ言動と行動を武器に、最近バラエティ番組に引っ張りだことなっている“超電波声優”の金田朋子、通称カネトモ。本業は声優ながら2010年ころからバラエティ番組に出はじめ、一過性でもキワモノでもなくジワジワと人気が浸透、現在の活躍に至る。カネトモの強烈過ぎるともいえるキャラは、なぜ視聴者からそれほどウザがられることがなく、拒否反応も少ないのか。数々の“カネトモ伝説”を交えながら検証してみたい。

今の声優に求められるものとは?

■バラエティでブレイク前から注目を集めていた“無軌道発言”

 金田の声優デビューは20代の後半で、声優としてはかなり遅いほうだ。製菓メーカーのOLや百貨店の販売員をしながら声優学校に通い、養成所では「声優にならないのは、世界の損失だ」と言わしめたという特徴的な声質で、2000年にデビューを果たす。その後、『あずまんが大王』の美浜ちよ役や『おねがい☆ティーチャー』のまりえ役などで知名度を上げ、『ケロロ軍曹』『NARUTO-ナルト-』などの有名アニメにも出演する。代表作としては、本人も自己紹介的によく引き合いに出す『おしりかじり虫』(NHK Eテレ)だろうか。実はバラエティ番組に出演する前からアニメ系番組で“無軌道発言”を繰り返すことから、困惑した共演者から“カネトモ地獄”と称されるまでになり、そんな特異なキャラが一部で話題を呼んでいた。2010年、『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)の「めちゃイケ新メンバー1万人オーディション」に参加、2013年には『アウト×デラックス』(フジテレビ系)に出演すると、一躍注目を浴び、その後も多くのバラエティ番組に出演するようになった。

 彼女の最大の特徴は、やはり普通のアニメ声とは一線を画した“超アニメ声”とでもいうべき、その高音ボイス。ある音声変換ソフトに彼女の声をあてたところ、なぜかノイズとして認識されてしまい、原因を調べてみると、彼女の声には人間の耳の可聴域を超えた20kHz超の“超音波”が含まれていた、というエピソードさえある。その他、「動物園のオウムの前で友だちと話していたら、後ろの客に『このオウム、おしゃべり上手いわね~』と言われ、しょうがなく話し続けた」「就職試験の面接の際、いつも『君、その声ふざけてるの?』と言われる」などなど、“声”に関する逸話には事欠かない。また、150cmの身長と童顔から、「30代でも居酒屋で免許証の提示を求められる」「横浜中華街の食べ放題で、支払いのとき『中学生ですか?』と店員に聞かれたので『違う』と答えたら『では小学生ですか?』と言われた(35歳当時)」などのエピソードも多い。

■奇怪な謎行動には、ときに“狂気”すら感じさせる

 さらに、「“一身上の都合により”とか“体調不良により”みたいな言葉、かっこよくて興奮しちゃいます」といった意味不明な発言や、得意料理として、シチュー風のドロドロとした料理(なぜかタコさんウインナーがあしらわれている)「クロマニョン」を披露したり、カネトモには声やルックスとは別に、天然の“ぶっ飛び”キャラがそもそも備わっているようだ。数多くの奇っ怪な言動には、ときには“狂気”すら感じさせるものがある金田だが、自分のキャラを一方的に押し付けてくるわけでもなく、暑苦しいわけでもない。一般層から生理的に嫌われやすいキャラというよりは、しいて言えば、かつての篠原ともえ的なテンションの高いぶっ飛び系、もしくは“歌のおねえさん”出身のはいだしょうこを過激にした路線だろうか。ぶっとびながらもやりすぎず、ギリギリのラインで保っているという点では、江頭2:50に近い部分もあるかもしれない。

 また、最近では10歳年下の夫である、“アスリート俳優”森渉と夫婦セットでテレビ出演することも多く、その場合は「ゴミ捨てができず、家をゴミ屋敷にしてしまう」といった、基本的に“家事できない”妻と、その妻を助け、フォローする夫というスタンスが多い。夫婦のやりとりにしても、ときには下手な漫才よりも面白く、お互いに愛情を持っている様子も垣間見えて微笑ましくもある。そのあたりも、視聴者から好感を持って受け入れられている要因かもしれない。

 かなりの“ぶっ飛びキャラ”でありながら、視聴者を不快にさせるレベルまでには“やりすぎず”、スキャンダルとは無縁の“おしどり夫婦”でもある。バラエティ番組としては、いつも天然で強烈なキャラを求めているだろうし、“やりすぎず”に“いい塩梅”で暴れてくれる存在であればなおさらだ。ましてや視聴者からの好感度も悪くないとなれば、金田ほどの適役は今のところいないかもしれない。また、それらも本人の“計算”内ではないかとの意見も一部にはあるようだが、そうした“ミステリアス”な部分もまた、金田の魅力のひとつなのだろう。いずれにしろ金田朋子は、これまでにはない“超電波声優タレント”として、息の長い活動をしていく可能性がありそうだ。

(文/五目舎)