嵐イベント経済効果93億円でも“地元民キレ気味”の舞台ウラ | ニコニコニュース

写真は「ひとめぼれスタジアム宮城」HPより
デイリーニュースオンライン

 いまや集客力がジャニーズでも1位といわれる嵐だが、その凄まじすぎる人気が、杜の都・仙台に思わぬ波紋を広げている。

 大型シルバーウィークとなる9月19日から23日までの5日間、宮城県仙台市近郊にある『ひとめぼれスタジアム宮城』において、嵐のコンサート『Arashi Blast in Miyagi』が開催されるが、この間20万人以上の嵐ファンが全国各地から押し寄せる見込みだという。

「もともと被災地復興を目的に、わが県の村井嘉浩知事が先頭に立って嵐招致に尽力し、実現した一大イベントです。県は今回の嵐イベントによって93億円の経済効果が地元にもたらされると試算。しかし、ここへきて、さまざまな方面からブーイングが巻き起こっている。地元は歓迎派と反対派が入り乱れて、ちょっとしたパニック状態となってますよ」(宮城県庁職員)

空き室転売ヤーも出現する混迷ぶり

 この期間の仙台市内の宿泊施設は、嵐ファンたちの予約によってすでに満室状態。地元にとって一見、喜ばしい話かと思いきや、そうでもないらしい。

 地元旅行代理店の社員は語る。

「7月末の時点で主だったホテルの予約はすでに埋まってしまった。ほとんどが嵐ファンと見られる方からの予約です。これによって、一般の旅行客が泊まれる空室が極端に不足し、せっかくの旅行をあきらめる人が続出。うちにも連日クレームの電話が入ってますよ」

 こうした状況をさらに悪化させているのが、転売目的の「空予約」だという。ネットオークションを商売にする中国人グループの1人はいう。

「嵐、人気すごい。これ、ビッグチャンスだね。私たち、今年の春からホテルに予約を入れ、8月頭までに50室分おさえた。それをいま、ネットで転売している。今のところ、元値の2倍~3倍で売れている。今後はさらに跳ね上がるだろうね」

 嵐コンサートの余波はこれだけではない。同期間中に開催予定の他のイベントにも大きな影響が出始めているようだ。

 9月8日発売の週刊女性が報じたところによると、あのタモリ主催のイベントが開催中止に追い込まれたのだという。記事によると、中止となったのは9月20日に宮城県七ヶ浜町で開催予定だったヨットレース『タモリカップ2015ジャパンツアー東北大会』。09年からはじまったタモリ主催の大会で、今年は被災地復興支援を掲げて、大々的に開催予定だったというのだが、先日、大会のHP上で「開催当日の現地状況を考慮した結果、中止する」発表がなされた。具体的には「参加者の宿泊先が確保できなかった」のがその理由だという。

 さらに、仙台市内の商店街の反応も厳しいものがあるようだ。地元の土産物店の店主はいう。

「嵐のファンが大挙してやってきたところで、金を落とす先は嵐関連グッズばかりですよ。もっとも金を落としてくれるはずの外国人観光客も嵐ファンたちのおかげで宿泊先が確保できず、来ることができない。我々にとっては、まったくありがた迷惑な話ですよ」

 国民的アイドルの嵐も、すべての国民に愛されるわけではないようだ。

(文/小林靖樹)