鬼怒川決壊12人不明=濁流救助待ち690人―2避難所750人孤立・茨城県常総市 | ニコニコニュース

 関東地方を中心に降り続いた大雨の影響で、増水していた鬼怒川の堤防が10日午後0時50分ごろ、茨城県常総市三坂町付近で決壊し、住宅地など川の東側の広い範囲に濁流が流れ込んだ。同市によると、12人が行方不明となっており、逃げ遅れた多数の住民が民家などに取り残された。警察や自衛隊などがヘリコプターやボートで約600人を救助したが、警察庁によると、同日午後11時現在で孤立した避難所を含めておよそ690人が救出を待っている。

 警察と自衛隊、消防は約1200人態勢で、夜を徹して捜索、救助活動を進めた。

 気象庁が栃木、茨城両県に出した大雨特別警報は、常総市など一部地域を除き解除された。警察庁などによると、栃木県で1人が死亡、1人が重体、各地で21人が重軽傷を負った。

 茨城県などによると、鬼怒川の決壊で常総市の約6500棟が浸水し、多数の家屋が流された。浸水面積は鬼怒川と小貝川に挟まれた地域の約32平方キロで、約10キロ下流の常総市役所付近にまで及んだ。救助要請を受け消防などが現地に向かったものの、連絡がつかない人など不明者が12人いる。60代と70代の男性が流されたほか、数人が家ごと流されたとの目撃情報がある。

 警察庁などによると、取り残された約690人のうち、約560人は避難所の地域交流センターに、約100人は大型スーパー内におり、危険が差し迫った状況ではないという。

 常総市によると、同センターなど市内の避難所2カ所の約750人が、周囲の冠水で孤立している。茨城県警によると、同県全域で約5700人が避難した。

 国土交通省によると、決壊したのはJR石下駅西側の鬼怒川左岸堤防で、堤防の高さは市街地から3〜4メートル、厚みは約4メートル。長さは当初、約20メートルだったが、その後拡大し約140メートルに達した。

 同日午前6時以降、上流の3カ所で川の水があふれているのを国交省職員が確認。決壊の恐れがあるとして警戒を続けていた。同省は現場にポンプ車などを派遣し、排水作業を進める。

 鬼怒川の堤防が決壊したのは、1949年8月以来。