ラノベ編集者「それで書けなくなる人を何人も見てきた」エゴサーチ(エゴサ)を巡る議論勃発! | ニコニコニュース

左:『僕は友達が少ない 11巻』右:『妹さえいればいい。 1巻』(共に作:平坂読)
おたぽる

 自分の本名・芸名・ハンドルネーム・ブログタイトルなどをインターネット上で検索し、自身の評価を探り確認する、エゴサーチ。略して“エゴサ”の名で広まるこの行為に関するライトノベル編集者のTwitterでのつぶやきを機に、“エゴサ議論”が繰り広げられている。

 英語の「ego(自我)」と「search(調べる)」を組み合わせてできた言葉、エゴサーチ。著名人やサイト運営、販売などを行っている人にとっては、マーケティングに一役買うといわれている。

 ダウンタウン・松本人志がテレビでたびたび「ネットが荒れる」「2ちゃんねる嫌いやわ」などと発言したり、HKT 48・指原莉乃が「寝る前は2ちゃんねる見てる」とコメント、NMB48・須藤凜々花も、ファンによるインターネット上での蔑称“枕ぽん(枕営業+須藤のあだ名、りりぽん)”という言葉を知っていたりと、ネット上で自分がどんな評判となっているのか、“エゴサ”している芸能人は意外と多いようだ。

 ただ周知の通り、インターネット上には賞賛もあれば、誹謗・中傷も溢れている。エゴサしてみた結果、落ち込んでしまったり、ネットへむやみに反感を持つようになってしまうケースも多い。魂こめた作品を、一方的に叩かれることもあるクリエーターならなおさらで、今月8日の“エゴサ”をめぐるライトノベル編集者氏のTwitterでのつぶやきが話題となっている。

「編集者としては、デビューする人にオススメしてないですね。それで書けなくなる人、何人も見てきたので」(@GA_SATO)。さらに、読者全員が作家を絶賛することはない、ラノベ作家が登場するラノベをいくつか読み、“趣味:エゴサ”といったものが見られたため、投稿したという@GA_SATO氏。

 これにはTwitter、ネット上のライトノベルファンからは「ナイーブな作家がやったら気が狂うわな」「ネガティブな情報しかないんだから、作家デビュー関係なく、やるべきではない」「世の中、理不尽なクレーマーだらけ」「作品名で検索して批判しかなかったら、書くのが嫌になるのも無理ない」と、多くの賛同する声があがった。

 一方で、「温かみのない意見もあるだろうけど、読者アンケートには目を通してるんだろ? 一緒じゃね?」「そもそも一番酷い発言するのは、編集者だと思うけど」「作り手はいろいろな意見を聞くべきだろ。かといって、すべて受け入れたらカオスだが」といった声も。

 ネット上の一方的な(しかも多くは根拠薄弱だったりもする)批判に怒りを示すクリエーターも多く、『僕は友達が少ない(以下、『はがない』)』(KADOKAWA/メディアファクトリー)の衝撃的なラストで話題となった平坂読氏もたびたび自作を通じて、“インターネットでの作品に対する批判”を批判。

 平坂氏の新シリーズ『妹さえいればいい。』(小学館/ガガガ文庫)では、登場キャラクター月子・ミッドフィールドの嫌いなものとして、「アマゾンレビューを自己表現の場だと思っているくそたわけ、2chの羽島伊月スレ(同作の主人公で、妹モノばかりを書いてる小説家)……(以下略)」としたり、『はがない』最終巻でも「著作権も知らないノータリンが大喜びでそのページを写真に撮ってネットにアップし、恣意的に抜き出された一部分だけで何かを判断できると思っている賢しらなエテ公たちが……(以下略)」など、猛烈に噛みついている。

 ネット上の声をまったくシャットアウトしてしまうクリエーターも、批判にさらされて、筆を折ってしまうクリエーターもいるという。絶賛する声も批判する声も、同時に耳を傾けなくてはいけないが、ただ批判したいがために批判しているのか、それとも真摯に批評しているのか、その差は割りと紙一重。嘘を嘘と見抜きつつ、バランスよく意見を集約・拾い上げられない人は、“エゴサ”は控えめにしておいたほうが良さそうだ。