<ましまろ>クロマニヨンズのマーシー、ヒックスヴィルの真城、中森で結成「80年代ネオアコが好きで」 | ニコニコニュース

「ましまろ」を結成した(左から)真城めぐみさん、真島昌利さん、中森泰弘さん
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 ザ・クロマニヨンズのギターの真島昌利さん、ヒックスヴィルのボーカルの真城めぐみさん、同じくギターの中森泰弘さんによる新バンド「ましまろ」が初のアルバム「ましまろ」を2日にリリースした。真島さんと真城さんは、1980年代に同じライブハウスで活動していた音楽仲間として出会い、中森さんは、真島さんの幼なじみと知り合いという縁があったが、3人でのバンド活動は、知り合って30年余りで今回が初めて。「ましまろ」誕生の経緯やアルバム作りのエピソードなどについて、メンバーに聞いた。

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 ――知り合って以来、3人ではあまり交流がなかったそうですが、なぜこのタイミングで一緒にバンドをやろうと思ったんですか。

 真島昌利さん:水島君っていう僕らの共通の知人がいるんですけど、その彼が5年ぐらい前にロカビリーバンドを始めて、そのライブを見に行ってるうちにまた顔を合わせるようになって。それで飲んだりしてるうちに、水島君が「君たち、真島と真城で『ましまろ』っていうのをやればいいじゃん」みたいなことを言い出したんです。それが3年ぐらい前で、会うたびにずっとそう言うんですよ。あまりにしつこいから、「じゃあやろうか」って(笑い)。

 真城めぐみさん:水島さんはデザイナーをやってるので、練習する場所(自宅兼事務所)も貸してくれたり。そこで月に2、3回集まって、だんだん音を出していくような感じでした。

 ――ましまろの音楽性やコンセプトは?

 真島さん:3人でやるんだったら、僕はアコギを弾きたいと思ったんですよ。いいギターをちょうど買ったばっかりだったから、それを使いたくて、「僕は座ってアコギを弾きます」って。あと、80年代初頭のクレプスキュールレーベルやチェリーレッドレコードとかのネオアコムーブメントみたいなのが3人とも好きで……。

 真城さん:いったら、ザ・クロマニヨンズと真逆の世界。マーシー(真島さん)は座ってアコギ、中森さんは、いつもはエレキもアコギも弾くけど、今回はエレキに徹するっていうのが一番分かりやすいところですね。

 ――今作は季節感にあふれていて、Uコン(模型飛行機の一種)を飛ばす光景を主人公が見ている「ぼくと山ちゃん」など、ノスタルジックな夏の歌が多いですね。少年時代の夏の記憶が曲になっていたりするんですか。

 真島さん:よく遊んだよ、山ちゃんとか。定かじゃないですけど、Uコンを飛ばすのを見てた感じとか、僕の心の中にはそういう情景、ありますね。子供の頃って、夏は夏休みっていう1カ月以上も休めるすごいイベントがあるじゃないですか。やっぱり、印象や記憶に残る出来事が多いのかなと思います。

 ――制作を通して“バンド内ルール”の違いを感じることは?

 中森泰弘さん:我々(ヒックスヴィル)の場合は、曲を作った人がある程度、作り込んでくるんですよ。その時点で、歌詞、アレンジ、歌い方もほとんど決まっていて、それに沿ってずっとレコーディングをしていくという。ホントに“作業”みたいな感じだったんですけど、今回はマーシーが「こういう曲あるんだけど、どう?」ってアコギで弾き語るところからスタートしたので、みんなの思いをそこで音にしながら、ホントに一緒に作ったというか。やっぱり、「みんなでやりとりしながら作っていくのがバンドなんじゃないかな」って再確認したところはありますね。あと、僕らだと、作り込んだものの方がいいような気がして、いつまでもレコーディングしちゃうんですけど、マーシーはジャッジも早いし、おいしいところを切り取るのがすごくうまいんです。

 真島さん:煮詰まったら、いいものなんてできないと思うんですよ。僕は煮詰まったらその時点でやめる。直感と独断で線を引いちゃうんです。

 真城さん:それは、すごくシンプルなロックンロールをやってる人の意識の差だなって。

 ――シングル曲「ガランとしてる」を含む3曲では、OKAMOTO’Sのハマ・オカモトさん(ベース)、黒猫チェルシーの岡本啓佑さん(ドラム)が参加していますね。共演してみていかがでしたか。

 真城さん:若さもあるんですけど、こちらが好きな音楽のフィーリングもちゃんと分かってくれているなと。年齢は倍以上違うけど、プレーヤーとしては対等ですね。

 ――1枚のアルバムを作り終えた手応えや印象は?

 中森さん:今回はツルっとできたし、楽しい印象ばかりで、聴いていても楽しいんですよね。今でも毎日聴いてます。

 真島さん:僕も、だいたい1日1回、寝る前に聴いてますよ。夜だと集中して聴けるし、お酒も飲んでるし。水島君の事務所で練習していたこととか、思い出しながら聴くと楽しいよ。

 真城さん:アルバムを作るまでに1年の期間があって、その間に月に何回かずつ集まって、季節も変わって、最初は冬だったのが夏になって……みたいなね。毎回飲みに行ってて、マーシー以外が飲んだ酒が悪くて、全員、気持ち悪くなっちゃった日があったり。

 ――制作期間中もよく飲んでいたんですか。

 真島さん:録音のスタジオが、発泡酒が飲み放題なんですよ。だいたい午後2時ぐらいから作業してたんですけど、1時半ぐらいに着いて、冷蔵庫を開けて、プシュッと(缶を開けて)飲んでから始めるという。(飲むと)楽しくなってくるんだけど、たぶん、本人が思ってる以上に冴えてないですね(笑い)。

 ――ツアーも始まりますね。過去の経験を踏まえつつ、意気込みをお願いします。

 中森さん:感電体質で、ステージ上で倒れたことがあって。ブン!って音がして、心臓がバクバクして、そのまま貧血ですよ。みんな「何やってんだよ」みたいな顔をしてこっちを見てたけど、「いや、感電してるんだよ、俺は」って(笑い)。感電した後、マンガみたいになれば(見た目が分かりやすくて)いいんですけど。

 真島さん:骨だけ透けて見えるとか(笑い)。

 真城さん:でもホント、健康で(ツアーを)楽しみたいです(笑い)。

 <プロフィル>

 ザ・クロマニヨンズの真島昌利さん(ギター)、ヒックスヴィルの真城めぐみさん(ボーカル)と中森泰弘さん(ギター)で結成し、2015年5月にシングル「ガランとしてる」でデビュー。真島さんが初めてハマッたポップカルチャーは、小学校1、2年生の頃に見ていた特撮ドラマ「ウルトラマン」シリーズ(ウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブン)。「『ウルトラQ』のガラモンのガラダマ(隕石)来襲と、『ウルトラマン』のグリーンモンスの時のソノシート(薄いビニール材質のアナログ盤)をよく覚えてます。効果音とストーリーが入ってるんですけど、8ページぐらいの絵本が付いていて、その物語を追いながら聴くっていう。テレビも見るし、ソノシートも聴いてました」と話した。初ツアー「ましまろ“ほーぼーツアー”2015」を10月まで開催。ツアー先の楽しみについて、「知らない街を見ながら散歩すること」(真島さん)、「各地の菓子パンを食べること」(真城さん)と明かした。

 (インタビュー・文・撮影/水白京)