減らされる一方の年金 「繰り下げ受給」や「不可年金」活用を | ニコニコニュース

 無職の高齢夫婦の生活費は平均して月6.2万円の赤字。65才から90才までの生活を貯金で賄うには1850万円が必要で、さらに年金減額や自宅リフォーム代、突発的な医療費などを加味すると老後に安心して暮らすには2850万円の資金がいる。そうした貯えがないと、いつか「下流老人」に転落する――。

「下流老人」に関してはこんな声も。

「年金は夫婦で10万円ちょっと。もうそろそろ貯金も底を尽きそうです。不安でたまりません」(60代後半女性)

「夫はリタイア直前。退職金から住宅ローンの残債も払うので、残る貯金は1500万円ぐらいです。どうすればいいのでしょうか」(50代主婦)

 下流老人の生活は厳しい。月額5万円の年金でひとり暮らしをする首都圏の郊外在住のA子さん(75才)は電気代が払えず真っ暗闇で生活し、月3000円の薬代が払えず持病の発作に怯えている。年金受給日前は100円ショップで買い溜めした乾麺を1日1食、口にするだけ。持ち家なので生活保護を受けられないのだ。

「こんなはずじゃなかった。だけど、年を取ったら人生は取り戻せない。夫が生きているうちにきちんとすべきだったと悔やんでも悔やみきれないよ」(A子さん)

 注意すべきなのは、女性は男性より「老後破産」のリスクが高いことだ。

 厚生労働省の調査では、男性の年金受給額は平均180.7万円に対して女性は98.6万円にすぎない。実際、65才以上のひとり暮らし女性の「相対的貧困率」は44.6%(2012年)とひとり暮らし男性の約1.5倍に達する。ひとり暮らしの高齢女性の2人に1人が貧困にあえいでいるということだ。

 しかも、後述するように今後、年金受給額は毎年、減額される。さらに2017年4月からは消費税が10%にアップする予定で近い将来、大幅な収入減と支出増が待っている。つまり、女性が老後破産するリスクは年々高まっており、誰でも「老後破産予備軍」といえる時代なのだ。

 どうすれば老後破産を回避できるのか。

 厚労省によれば、65才以上の世帯のうち所得のすべてを年金に頼る世帯は5割を超える。ところが国の財政難から今後、年金受給額は毎年1~2%の減額となる。20年後に22%、40年後に45%の大幅カットをされる計画だ。

 減らされる一方の年金を少しでも増やすことはできないか。その1つの方法が「繰り下げ受給」だ。

 年金受給は原則65才からだが、希望すれば60才からもらえる「繰り上げ受給」や、受給年齢を70才まで遅らせる「繰り下げ受給」が可能だ。

 前者は毎月の年金額が「繰り上げた月数×0.5%」減額され、後者は「繰り下げた月数×0.7%」増額される。

 たとえば、国民年金に加入期間40年で満額受給する人が繰り下げ受給を選択し、受給開始を1年遅らせたとすると、月5400円ほど受給額を増やすことができる。最大5年間(60か月)受給を遅らせると、月2万7000円(42%)も増える計算になる。

 国民年金加入者には「付加年金」の利用がお勧めだ。

「国民年金の保険料に追加して毎月400円払うだけで、将来の受給額(年額)が『200円×加入月数』だけ増える制度です。たとえば、50才からの10年間、付加年金を払うと総支払い額は4万8000円。『200円×10年間』で年額2万4000円が上積みされる。つまり、65~66才の2年間受給すれば元が取れます。その後は長生きするほど得になります」(「年金博士」として知られる社会保険労務士の北村庄吾氏)

 何より年金を増やす大原則は「長く働くこと」だ。国民年金は最大40年しか加入できないが、厚生年金は働けば働くだけ上積みできることは忘れてはならない。

※女性セブン2015年9月24日号