不法入国取り締まり強化=殺到する難民174人拘束―ハンガリー | ニコニコニュース

 【ウィーン時事】中東などから難民や移民が西欧に殺到し続ける中、経由地のハンガリーで15日、不法入国者に禁錮刑を科すことのできる厳罰化法が施行され、当局は取り締まりを強化した。政府はこれまで難民が大挙して入ってきた対セルビア国境に警官を増員して警戒を強めており、ロイター通信によると、警察は15日、入国した難民ら174人を拘束した。

 ハンガリー議会は難民流入圧力が高まっていた4日、厳罰化措置を承認。国境で設置が続く高さ4メートルのフェンスや有刺鉄線を違法に越えれば、禁錮3年の刑を受ける可能性がある。AFP通信によると、オルバン首相は「不法越境すれば直ちに逮捕する。当局にそれ以外の選択肢はない」と断言。シーヤールトー外相は15日、対ルーマニア国境の一部でもフェンス建設準備を進める考えを示した。

 政府は今月、警官2000人以上を国境地帯へ追加配備。首相は14日、任官直後の新人警官約900人も国境監視に当たらせることを明らかにし、難民らの「密入国」を許さない方針を明確にした。ハンガリー警察によれば、今年20万人以上の難民らが入国。14日だけで過去最多の9380人が押し寄せた。

 ハンガリーは欧州連合(EU)欧州委員会が提案した加盟国による難民の分担受け入れ義務化に最も強硬に反対。首相は難民らについて、多くは戦闘や迫害を逃れてきたわけではなく、より良い生活を求めているだけだと主張している。

 首相は難民らのEU最初の入国地ギリシャが保護申請処理を十分行っていないことも批判し、国境管理を強化する必要性をかねて訴えていた。議会は国境付近に大規模な軍部隊を投入し、「非常時」の武器使用を認めることも近く決める見通し。

 一方、ハンガリーへの入国を阻まれた難民らが足止めされているセルビアは強く反発。ロイター通信によると、ダチッチ外相は、難民らの処遇をセルビアに押し付けることは「受け入れられない」と述べ、ハンガリーに国境の封鎖解除を要求した。