第一回のドローンカンファレンスInterDroneに見るドローン未来学とそのための課題 | TechCrunch Japan

小型のドローンが急速に進歩している。最初はやや高度なリモコン玩具にすぎず、‘ドローン’という呼び名にも批判があった。ドローンと言えば、少なくともある程度の自律性があって、たとえばテロリストの暗殺に使われたりする無人機を指すからだ(一般市民も巻き添えにするが)。しかし今では、技術が名前に追いつきつつある。ドローンはますます自律的になり、そのため、近未来のスタートアップのための多様なビジネス機会が開かれつつある。

先週(9/6-12)は、今年で第一回となるInterDroneカンファレンスがラスベガスで行われ、そのキーノートで3D RoboticsのCEO Chris Andersonが、今やドローンは“パイロットのいない航空機”から“プロペラのあるスマートフォン”に変わりつつある、と述べた。

そのときのインタビューでAndersonは、3DR社は今、自律飛行の研究開発に重点投資をしており、AIと機械学習のエキスパートたちを雇用して技術の改良を進めている、と語った。

初期のドローンの性能は、人間操縦者の技能に大きく依存した。今のドローンは一部の基本的な機能は自律的に行うが、障害物の回避などの能力はまだお粗末だ。GPSで目的地に向かうことはできるが、その航路の途中に壁があってもまっすぐ飛び続ける。木や壁を避(よ)ける機能は比較的容易に実装できるが、たとえば送電線のようなものを認識させるのは難しい。いずれにしても今のドローンの大きな技術的障害が、障害物の回避なのだ。

ドローンが本当に“プロペラのあるスマートフォン”になったら、それは物のインターネット(IoT)の一部になり、それだけでなく、インターネットに接続されたほかのもの(ドローンや航空機が多いだろう)と対話できる。これにスマートな(電脳の)障害物回避が加われば、ドローンの自律性がより本格的になり、さらに新しい用途が開ける。

そしてドローンの自律性が増せば、人間はその複雑な操作に悩まなくなり、ドローンが集めてくるデータに集中できるようになる。

InterDroneに集まったAndersonなどの業界人の多くが、ドローン産業の現状をWebの初期になぞらえている。ということは、これからはドローンという新しい技術と、さまざまな既存の技術との組み合わせを考えるべきなのだ。インターネットとWebの登場によって、その後、小売業も不動産業もレストランも、行政すらも、あらゆる業態がディスラプトされてきたように。それはたとえば、Web + レストラン = OpenTable、といった式で書き表せるだろう。

誰もが思いつくユースケースもある。精密農業や、測量、それにAmazonのおかげで荷物の配達も。最近では、ドローンが撮影している映像をリアルタイムで仮想カンファレンス(ビデオによるカンファレンス)にストリーミングする、という企業も現れている。

このような簡単な応用例はまだまだたくさんあるが、あまり人が考えつかないようなものにも、おもしろいアイデアがいろいろある。

ドローンをめぐる規制はまだ流動的だから、ドローンでできることとできないことの境界も曖昧だ。でもベンチャーキャピタリストたちは、YuneecへのIntelの投資やさまざまなドローン指向ファンドにも見られるように、早くも走りだしている。ファンドの多くはハードウェアへの投資をねらっているが、しかし今日では、ドローン関連のソフトウェア開発も大量に行われている。そしてそれらのすべてが、将来FAAと問題を起こさぬように、適正に調製されるべきだ。AirwareSkywardのような企業ユーザ向けドローンソフトウェアのメーカーは、とくにそれを願っている。

というか、今日の主導的な趨勢としては、多くの企業が明日のドローン+(drone+, ドローンプラス)の時代に備えてインフラの整備に励んでいる。

ドローンを飛ばせることだけでなく、ドローンが集めてくるデータの分析も重要だ。それは典型的なビッグデータ分析の課題だが、今後はドローン固有のビッグデータソリューションがいろいろ登場するだろう。たとえば農家には、ドローンが送ってくる映像を毎朝分析する能力がないから、農家にそのためのわかりやすいダッシュボードを提供するソフトウェア企業が必要とされる。それは、潅水の適期適量を知るといった精密農業のニーズだけでなく、害鳥や害獣を追い払うといった、ドローンの古典的な活躍分野もありえる。

自分の身の回りの環境を完全に認識できる、真の自律的ドローンが登場し、同時にセンサとデータ分析の技術がさらに進歩し、良質な規制が完備したら、ドローンのポテンシャルが完全に開花するだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa