逮捕者が「埼京線なら痴漢できる」と供述…埼玉県警がオドロキの痴漢対策 | ニコニコニュース

埼玉県の大宮駅から東京都の大崎駅を約45分で結ぶJR埼京線は、痴漢が多く出没するといわれている路線だ。

昨年11月には、そんな「痴漢の多い埼京線」を改めて印象づける事件も起こった。池袋―十条間の下り電車内で30代の女性にみだらな行為をしたとして、神奈川県平塚市の教育委員会職員の男(46)が逮捕されたが、その供述が「埼京線なら痴漢できると思った」というものだったのだ。

男は横浜市内での研修が終わった後、わざわざ痴漢をするためだけに大崎駅まで来て、午後7時ごろ、帰宅ラッシュ時の埼京線に乗り込んだ模様。痴漢をする人間にとって埼京線はそれほど「特別な路線」となってしまっているのかもしれない。

ちなみに警視庁が2009年にまとめた統計では、都内の電車内で起きた痴漢被害のうち、埼京線は12%で、路線別でもっとも多かったという。痴漢が多い理由については、朝・夕の電車内が異常なほど混雑すること、新宿―池袋間に停車駅がなく、約5分間走りっぱなしであること、などが挙げられる。

一方、そんな「痴漢が多い」というイメージをなんとか払拭しようと、JR埼京線が走る埼玉県の埼玉県警は痴漢防止対策に乗り出している。

その一つとして今年1月に無料配布されたのが、「チカン抑止シール」だ。「さわらないで!」と書かれたこのシールは、携帯電話などに貼ることで、女性が痴漢に対して強い警戒心を持っているとアピールする効果がある。また、それでも痴漢された場合は、2枚重ねになっているシールの上1枚をはがして、「×」印を犯人の手に押しつけることで、赤いインクが犯人の手に残り、痴漢の証拠とすることができるんだとか。

さらに埼玉県警では特殊インクによる対策も検討している。これは、あらかじめ透明な特殊インクが入った小さな袋を指に装着しておき、被害に遭った際、それを犯人の手に付着させれば、後から専用の光をあててインクを浮かび上がらせるというもの。こちらも痴漢を立証するためのツールだ。

ただし、これらの対策には、誤用や悪用により新たな「痴漢冤罪」を生むことにもなりかねないという意見も出ている。はたして埼玉県警の痴漢対策によって、埼京線は「痴漢が多い」というイメージを払拭することができるのか。今後の動きに注視したい。