底打ち鮮明! 東京電力「平均年収709万円」は高いか、安いか | ニコニコニュース

電力会社の平均年収推移
プレジデントオンライン

■関西電力、九州電力とは完全に逆転

原発再稼働に対する、世間の風当たりに揺れる電力業界。

火力発電増加に伴う燃料費増に対して、電気料金の値上げやさまざまなコスト削減などで対処していますが、経営環境の厳しさは続いています。

では、震災以降、電力各社の賃金水準はどのように変化しているのでしょうか。グラフは、東京電力、中部電力、関西電力に、先ごろ川内原発を再稼働させた九州電力を加えた、各社の平均年収の推移を示しています。

福島原発事故による多額の賠償金を背負った東京電力。収益悪化が明らかになった2011年度、2012年度には、大幅な年収ダウンを余儀なくされました。しかしながら、その後2013年度、2014年度と、他の電力会社に先駆け、急速に年収水準を戻してきています。今年3月には「東電が2015年度の一般社員年収を、震災前水準の10%減とすることで労働組合と合意」というニュースがありましたので、この傾向は続きそうです。

収益の黒字化が理由のようですが、赤字が続く関西電力と九州電力は、賞与カットなどにより、震災前に比べて平均200万円以上の年収減となったままです。ついに2014年度には、4社の中で東電が最高の平均年収(709万円)となっています。

これって、かなり違和感がありますよね。

確かに、震災前は原発依存度が高く、稼働停止の影響が大きい関西電力や九州電力。そのため収益改善が遅れているのですが、天災によるものとはいえ、実際に事故が起こったのは東京電力です。その東電は、表面上は利益が出ているとしても、巨額の賠償金については、国の資金援助を受けて、棚上げにしてもらっている状態です。

片や、他の電力会社は、言わばトバッチリを受けたかたちです。社員にとっては「何で自分たちが」という思いではないでしょうか。

■規制産業は強いという事実

もともと、電気・ガスは、産業別でみて賃金水準の高い業界です。

厚生労働省の調査でも、「金融・保険」や「情報通信」を抑えて、トップとなっています。電力各社が年収カットを行っている中での調査だけに、なおさら目立ちます。

電力・ガス会社は、長らく自由競争とは対極にある規制産業の代表例でした。地域を寡占状態に置き、新規企業の参入を法律や行政の許認可により極力抑えることで、確実に利益が上がる状態を長らく維持してきたのです。

今後、電力・ガスの自由化により、参入企業が増えれば、一定の競争効果は生まれるでしょう。震災以降、電力会社も、従来のように超安定企業であり続けることは困難となりました。

しかしながら、東電の年収底打ちを見る限り、「やはり規制産業は強い」と思わざるを得ません。

ちなみに、日本のサラリーマンの平均年収は480万円程度(厚生労働省調査)、上場企業に限定しても580万円程度です。