著作権の侵害か「フェアユース」か? 8年間の対決に、インターネットが勝利

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2007年、プリンスの名曲「Let's Go Crazy」で踊る赤ちゃんのホームビデオがYouTubeにアップされました。それから8年、何十人という弁護士が関わった上訴の末に、ついに米国連邦裁判所はこの動画のポストは問題なしという判決を下したのです。この判決は、インターネットにとって大きな勝利となります。



話の始まりは2007年。踊る赤ちゃんを撮影したお母さん、Stephanie Lenzさんが動画をアップしてから数カ月後のこと。ユニバーサル・ミュージック・グループが、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)の下、この動画が著作権を侵害しているとして、YouTubeに動画削除を要請しました。数週間後、今度はLenzさんが、この動画での音楽利用は「フェアユース」であり、著作権侵害には当たらないとYouTubeに申し立てました。結果、Lenzさんは、DMCAの不当利用だとしてユニバーサルを訴えることとなりました。

それから約8年、長い裁判が続き、紆余曲折を経て先日ついに、サンフランシスコの裁判所でLenzさんの勝利が言い渡されたのです。つまり、赤ちゃんダンス動画での楽曲使用は、著作権侵害にはあたらなかったということです。

問題は「著作権の乱用」


インターネットにとって、この判決は大きな影響力をもちます。ネット上で知的財産がどのように取り扱われるのかという非常にデリケートな問題に、この判決は1つのパターンを作ったのです。判決では、著作権保持者は削除依頼を出す前に、これがフェアユースに当たるのかどうかを考えるべきだと言い渡されました。

現在、ユニバーサルのような著作物を多く持つ企業は、アルゴリズムを作ってDMCA侵害と思われるポストの削除を依頼しているんです。つまりは、YouTubeやグーグルをコンピューターが見回って判断しているということですね。ゆえに今回は、フェアユースか否かという判断が上手くできていないのではないか、という点が問題視されたわけです。以前から、Electronic Frontier Foundationなどの団体がこの点を指摘しており、1つ1つのケースを検討することなくDMCAを乱用していると訴えていました。

今後、今回のLenzさんの判決が先例となることで、著作権ホルダー側は、知的財産がどのように利用されているのか、ケースごとにフェアユースの可能性をしっかり考える必要がでてきます。アルゴリズムによる自動削除要請をはね除ける術を見につけたというのは、インターネットが1つの大きな武器を手に入れたと言えるでしょう。


source: NPREFF

Chris Mills - Gizmodo US[原文
(そうこ)