【ケンブリッジ(米マサチューセッツ州)時事】独創的でユーモラスな研究に贈られるイグ・ノーベル賞の今年の受賞者が17日、米東部ボストン近郊のハーバード大で発表され、アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患の患者が恋人や配偶者とキスすると症状が緩和することを報告した大阪府寝屋川市の診療所院長、木俣肇さん(62)が医学賞を獲得した。日本人のイグ・ノーベル賞受賞は9年連続。

 木俣氏は、スギ花粉などにアレルギーを持つアトピー患者やアレルギー性鼻炎の日本人男女複数に、それぞれ個室で30分間、穏やかな音楽を聴きながら恋人らとキスしてもらったり、同じ環境で抱擁だけをしてもらったりする実験をした。

 その結果、キスの後はアレルギー反応を引き起こす原因となる抗体の産生や特定のタンパク質の血中レベルが低下し、症状が弱まった。抱擁だけの場合、そうした変化はなかった。

 木俣氏は論文でキスが精神的ストレスを和らげ、アレルギーの緩和につながった可能性を指摘した。受賞に際し「人間本来の自然治癒力とも言うべき豊かな感情を大いに利用し、アレルギー反応を弱めてほしいと切に願っている」とコメントした。