怒号と混乱の採決=「暴力的で無効」「瑕疵なし」 | ニコニコニュース

 飛び交う怒号、委員長席に飛び掛かる野党議員―。与党は17日夕の参院平和安全法制特別委員会が大混乱する中で、安全保障関連法案の採決に踏み切った。野党議員は鴻池祥肇委員長(自民)に詰め寄って採決を阻止しようとしたが、与党側が押し切った。与党は18日までの参院本会議で採決し、成立を目指す。野党側は「暴力的な採決は無効だ」と反発を強めており、攻防は2日連続で未明にもつれ込んだ。

 委員会採決に先立ち、民主党の福山哲郎氏は鴻池委員長への不信任動議の趣旨説明に45分を費やす「フィリバスター」(議事妨害)を繰り出し、安倍晋三首相について「戦後日本の安全保障法制の根幹を揺るがすのに国民に信を問わないのか」と訴えた。

 鴻池委員長は17日午後4時半ごろ、不信任動議が否決されると委員会室に戻り、予定された締めくくり質疑も省略して、即座に採決に臨んだ。大勢の野党議員が一斉に駆け寄り、マイクを奪おうと委員長に飛び掛かり、委員会室が騒然とする中での採決となった。

 鴻池委員長は可決後、記者団に「参院は衆院の下部組織ではなく、独自の結論を出す必要がありきょうの採決に至った。強行採決ではない」と議事運営の正当性を強調した。

 不意を打たれた形の野党側は収まらない。民主党の枝野幸男幹事長は記者団に「到底許されない暴挙だ。成立阻止に向けて努力を重ねていく決意だ」と宣言。共産党の志位和夫委員長も「道理の立たない言語道断の暴挙だ」と訴えた。この後、民主、維新、共産など野党5党の参院国対委員長らは山崎正昭参院議長に対し「特別委採決は無効」として議事録の精査などを要求、その結果が出るまでは参院本会議の開会は認めないと抗議した。

 与党は安保法案を何としても連休前の18日までに成立させたい考えで、委員会採決、本会議開会と突き進んだ。国会周辺では法案への反対デモが連日展開されている。18日夕には連休入りを前に、デモのさらなる拡大が予想されており、与党は「連休に入れば国会が包囲され、出入りすらできなくなる」(自民国対)と、早期決着を急いだ。

 法案採決を阻止したい民主党など野党側は閣僚問責決議案などを連発した。ただ、17日中の出番はないと見越した首相は午後7時ごろ官邸を後にし、早々に東京・富ケ谷の私邸へ帰った。