安倍首相、経済優先で局面転換へ=野党は再編焦点―安保法成立 | ニコニコニュース

 安全保障関連法の成立を受け、安倍晋三首相は再び経済最優先を政権運営の柱に据えて臨む方針だ。国民的な反対運動を受ける中で採決を押し切ったことで政権が体力を消耗したことは間違いなく、アベノミクス推進によって局面転換を図る。これに対し、野党各党は「安倍1強」の打破に向けた再編への動きが焦点となる。与野党とも来年夏の参院選をにらんだ動きが活発化する。

 首相は19日からの大型連休で英気を養った後、自民党総裁再選を踏まえた記者会見を24日に行う。今後の政権運営について、デフレ脱却を目指し、引き続き成長戦略や地方創生などの重要課題に取り組む決意を表明する意向だ。首相周辺は「安保が終わったら経済だ。政権がここまできたのは経済で成功したからだ」と指摘した。

 アベノミクスは企業業績の好転や株価向上につながり、首相も経済好循環への手応えを感じていた。しかし、中国発の世界的な株安連鎖をきっかけに、日本経済の先行きも不透明感を増している。

 首相は新たに3年の総裁任期を得たものの、経済が失速すれば足元は揺るぎかねない。2017年4月の消費税率10%引き上げに向けた日本経済の強化が最大の目標となる。一方、消費税増税時の軽減税率をめぐる与党内の議論は迷走しており、早期決着が課題となる。

 一方、安保法制の成立を阻止できなかった野党各党も態勢の立て直しを図る。民主、維新両党は今国会閉幕後、選挙や政策面での協力に向けた協議機関の設置で合意しており、野党再編への流れが本格化する可能性がある。維新の松野頼久代表は18日の衆院本会議で「今こそ政権交代可能な改革勢力の結集に意を決して取り組む」と述べた。

 民主党内で「解党」による維新との合流を求める声が強まることも予想されるが、再編推進派と慎重派の路線対立が深刻化する恐れもある。野党各党が政策面で折り合えるかや、参院選で候補者を絞り込めるかなど共闘への課題は多い。維新を離党した橋下徹大阪市長らが10月に旗揚げする「おおさか維新の会」の動向も、政局の行方に影響を与えそうだ。