暴力を振るっていた前夫から逃れるため、別の男性との間に生まれた娘の出生届を33年間提出せずに戸籍がない状態にしたとして、神奈川県内に住む母親に、藤沢簡裁(町田俊一裁判官)が戸籍法違反で過料5万円の決定を出していたことが20日分かった。母親は異議を申し立てたが退けられ、横浜地裁に即時抗告する方針。

 代理人弁護士によると、母親は1961年に前夫と結婚して九州地方に住んでいたが、暴力から逃げるため籍を抜かないまま80年に神奈川県内へ移った。82年に新たな交際相手との間に娘が生まれたが、前夫に娘の存在や自分の居場所を知られることを恐れて出生届を提出しなかった。