新作の劇場上映&BD化に『ARIA』ファンはこうも喜ぶ理由とは!? 長かったBD化への道―― | ニコニコニュース

『ARIA The AVVENIRE』公式サイトより
おたぽる

 26日、ついにイベント上映の開催を迎える『ARIA The AVVENIRE』は、コミック・アニメ完結後のキャラクターたちを描いた完全新作アニメーション。しかも劇場特典として、原作者・天野こずえの描きおろしマンガもつくとあって、上映前からファンのテンションは高い。そのテンションは、一般アニメファンからは異様なほど高く見えるが、そこには長い雌伏の時間があったのだった……。

 アニメ『ARIA』シリーズは、天野こずえの人気コミック『AQUA』(エニックス)、『ARIA』(マッグガーデン)が原作。水の惑星アクアの観光都市、ネオ・ヴェネツィアでゴンドラを駆り、街を案内する水先案内人・ウンディーネを務める、水無灯里をはじめとする少女たちの人間ドラマと成長の物語だ。

 イタリア・ヴェネツィアにも似た美しい水の描写と、心温まるエピソードで人気となった天野こずえの名作は、名匠・佐藤順一監督の手によって、まず2005年に『ARIA The ANIMATION』としてTVアニメ化。その後、06年にTVシリーズ第2期として『The NATURAL』、さらに08年にTVシリーズ第3期『The ORIGINATION』と展開される人気シリーズとなった(07年にはOVA『The OVA ~ARIETTA~』もリリース)。

 原作コミックはシリーズ累計420万部、関連書籍は60万部が発行され、アニメDVDやグッズなども好調な売り上げをマークしたのだが、アニメDVDがリリースされたのは06~08年。アニメのパッケージ商品の主流がDVDからBlu-rayへ移り変わる直前ということもあって、アニメ『ARIA』シリーズは、その人気に反してBlu-ray商品が発売されてこなかったのだ。

 ちょうどその頃、「VHSやDVDなど、まだBlu-ray化されていない過去の名作の中から、最もBlu-rayしてほしい作品を決めよう!」と、Blu-ray化を推進する「あなたの力でBD化プロジェクト」が、Blu-rayの普及を目的とする「ブルーレイ・ディスク・アソシエーション(以下「BDA」)」公認のもと勃発。ファンによる投票を行い、1位になった作品はBDAの担当者が版元に製品化を働きかけるというこの企画は09年4月よりスタートした。

 その後、ほぼ1年ごとに「BDA」のサイトや、「月刊アニメージュ」誌上で投票企画は行われた。この投票でトップとなったからといって、BD化が正式に決定するわけではないのだが、第1~3回の投票でトップになった『true tears』『ゼーガペイン』『とらドラ!』はいずれもBD化。特に『true tears』『ゼーガペイン』の2作品は投票の結果を受け、クラウドファンディングを採用。投票にも参加した、多くの根強いファンの支援でBD化が決定したという、熱いバックストーリーがあったりもする。だが、『ARIA』はいつもランキング上位に食い込むものの、トップを掴むことができずじまい……。

 高クオリティーなビジュアルに音楽。絶対に高画質で見たいのにBlu-rayが出ない。そんなファンの嘆きをよそに、周囲の新作たちは次第にBlu-ray商品が主流となっていき、もはや「BDA」や「BD化プロジェクト」も、その役割を終えたかと思われていた12年。「帰ってきたBD化プロジェクト」と題され、再び投票企画が行われ、そこでようやく『ARIA』は首位を掴んだのだ。

 もともとBlu-ray商品の発売が進行していたのか、それともこの投票結果が効いたのか。真相は定かではないが、この結果を受け、公式Twiiterなどで、BD化がほのめかされるようになり、アニメ化10周年となる今年2月、ついに全シリーズのBlu-ray BOXの発売、あわせてアニメ10周年記念として新作アニメの製作などが発表! 『ARIA』ファンに歓喜の涙を流させたのだった。

 ファンをやきもきさせてきたお詫びというわけではないだろうが、各シリーズのBlu-rayBOXともいずれも特典満載だし、シリーズの集大成ともいえる、『ARIA』新作の上映がついに始まる。長いシリーズだけに、一見さんには敷居が高く見えるかもしれないが、『ARIA』はいたって世界観に没入しやすい名作だ。名前は聞いたことがあるぐらいの人も、気軽にこのお祭りを楽しんでみてはいかがだろうか。きっと水先案内人・ウンディーネたちが、『ARIA』 シリーズの楽しさを案内してくれることだろう。

■『ARIA The AVVENIRE』公式サイト
http://www.ariacompany.net/