記録的な豪雨で鬼怒川の堤防が決壊した茨城県常総市が市民に対し、避難指示や避難勧告を知らせる「緊急速報メール」を送信していなかったことが21日、市への取材で分かった。安心安全課の担当者は「手が回らなかった。これを教訓に体制の整備をしなければならない」と話している。

 常総市は2012年3月にメールサービスを開始。市が携帯大手3社それぞれに避難指示情報などを送信すると、市内やその周辺にいて3社の携帯電話を持つ人に対し、自動配信される仕組みとなっている。

 同市によると、10日午前2時20分から、防災行政無線や市のホームページを通じて避難指示と避難勧告を断続的に知らせた。しかし担当課の職員全員が消防団や市災害対策本部との連絡調整などに追われ、メールサービスへの入力作業をしていなかった。

 鬼怒川は同日午後0時50分に決壊。常総市内の広範囲が浸水し、市役所も非常用電源が水没して一時機能不全に陥るなど、行政の危機管理の不備が次々と表面化した。