『あの花』じんたん役・村上虹郎、「アニメより醜くて美しい」実写の魅力語る | ニコニコニュース

村上虹郎、実写版『あの花』の魅力について語る クランクイン!
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 「号泣アニメ」の筆頭に挙げられる大人気作『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』がスペシャルドラマとして実写化される。そのニュースが流れるや、瞬く間に大きな話題となったことでも人気度がうかがえる本作。主人公・じんたん(宿海仁太)役を演じた村上虹郎を直撃し、実写版の見どころを語ってもらった。

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 ドラマのメインキャラクターとなるのは、子供時代の事故をきっかけに、心を閉ざし離れ離れになってしまった仲良し6人組“超平和バスターズ”。ある日、事故で死んでしまった少女・めんまが訪れたことから、彼らの止まっていた時間が動き出すファンタジックな物語だ。「放送されている時、海外に留学していたのでアニメを見ていなかった」という村上。撮影前にイッキ見したといい、「それぞれのキャラクターに魅力を感じて。好きな人はたくさんいるだろうなと思いました」と人気の高さにも納得だ。

 しかし演じる上では、「原作があるものだろうとオリジナルだろうと、演じる上では変わらないと思っています。ひとつの作品として、常に真摯に向き合うだけ」と原作アニメをことさら強く意識することはなかったという。そんな中、実写だからこその見どころとして“涙のシーン”をあげる。「アニメで描かれる涙はすごかったですよね!ものすごい大きさの涙がボタボタ落ちてました」と微笑み、「今回、雨が降ってしまったりしたことで撮影が当初の予定よりかなり延びたんです。結果うまいことになったなと思うのですが、そのおかげで『めんま、見ーつけた!』とみんなで言うシーンでオールアップできて。あのドシャ泣き、ダダ泣きのシーンです」と告白。

 ファンにとってはおなじみの大感動シーンだが、「やっぱりこの作品の象徴として、涙は重要。アニメより実写の方が、醜いと思うんです。だからこそ、そこがいいんです。アニメの『あの花』は絵もきれいだし、涙もきれいだけれど、生身の人間って醜い部分がたくさんあって、いわば醜いことが美しい。それと、匂い。男の匂いや女の匂いなど、より実写の方が伝わると思います」と実写ならではの見どころは、体内から出る生身の“人間らしさ”だと話す。

 演じたじんたんは、心を閉ざし、引きこもってしまっている少年。村上は「じんたんは弱い人間。臆病だし傷つきやすい。だけれど、物事に立ち向かえる人」と分析。「自分と似ているところがある」と話すが、村上自身も殻に閉じこもってしまった経験があるそう。「16歳くらいまで反抗期みたいな感じで、窓も閉めてギターをずっと弾いていた時期があって。外から見たら、引きこもっているように見えたと思います。やりたいことがわからなくて悔しくて。何に対してかわからないけど反発心や、ちんけなプライドがあって。迷っていましたね。親にも心配をかけました」。

 俳優の村上淳を父に、歌手のUAを母に持つ彼だが、そこで俳優への道を選択する。「俳優って一生もがき続けるもの。ずっと悩みながら、追い込みながらやっていく。おかしな仕事ですよね。でも、一番大切なのは“続けること”。まずは“続けること”をモットーにやってみようと思ったんです。人って、いつでも誰でもどこか芝居をして生きていて、それを意識的にやるというのは面白い」とにっこり。さらに「俳優は、時代を映すものだと思うんです。テレビや映画には音楽があって、ファッションもわかる。メディアって時代の象徴だと思うんです」と充実感をみなぎらせる。

 そして「もちろん親父から影響も受けているけれど、僕は誰にもなりたくない。自分になりたい」と強い眼差しを見せた。独特の感性と豊かな個性でひょうひょうとどこまでも駆け上がっていきそうなパワーに満ちた村上虹郎。本作で彼の魅力を感じてみては。(取材・文・写真:成田おり枝)

 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』は9月21日21時より放送。