「○年に1度の…」「岡山の奇跡」等のアイドル報道頻発背景 | ニコニコニュース

 今年の夏は『50年に1度の記録的な大雨』というニュースが全国各地で報道されており、「50年に1度」はキーワードとなるほどだった。ちなみに2013年には気象予報士の森田正光氏が「1000年に1度の猛暑」と指摘し、今年は「観測史上最長の猛暑日」もあるなど「○年に1度」「○○史上」はニュース映えするようだ。

 また、気象だけでなく他の分野でも“○年に1度”というニュースは登場する。秋の話題の1つであるプロ野球ドラフト会議では松坂大輔、ダルビッシュ有、中田翔など『10年に1人の逸材』という報道が頻繁になされていた。秋の風物詩の1つであるボジョレヌーボーの解禁時には「10年に1度の逸品」「過去50年でも素晴らしい出来」といった評価の報道も登場する。

 そんな「○年に1度」という言葉が横行する中、最近ではタレントやアイドルの「年に1度」がニュースとなっている。『1000年に1度の美少女』として話題となった橋本環奈をはじめとして、『2000年に1人の美少女』といわれる滝口ひかりや「1000年に1度の童顔巨乳」として週刊ヤングマガジンのグラビアジャックで話題となった浅川梨奈などだ。

 なぜここまで根拠不明な「年数」のキャッチフレーズの美少女が頻発するのか? 一体誰が平安時代の美女の顔を知っていたというのだろうか。アイドル事情に詳しいライターの相羽真氏が語る。

「雑誌やネットニュースなどメディアが取り上げる際、分かりやすいキャッチフレーズがあった方が伝わりやすい。例えば、橋本環奈は最初ネットで“天使すぎるアイドル”と呼ばれていたのですが、いつのまにか“天使すぎる”より分かりやすい“1000年に1度の美少女”に変わっていったように思います」(相羽氏・以下「」内同)

◆「岡山の奇跡」「樽ドル」などアイドルにキャッチフレーズが必要な理由

 過去には「可愛すぎる海女」「美人すぎる市議」なども過去に話題となったが、いつしか「美人過ぎる甘栗売り子」が登場するやらエスカレートしていった。「○○過ぎる」の発展系が現在の大袈裟表現に繋がっているともいえる。

 さらにはこの傾向はさらに拍車がかかっていく。『神に選ばれた美少女』といわれる齋藤飛鳥、『岡山の奇跡』として注目の岡山美少女・美人コンテストのグランプリ桜井日奈子らが挙げられるだろう。現在桜井は、いい部屋ネット(大東建託)等のCMに出演中でブレイク間近とも言われるが、相羽氏はこんな見方をする。

「“岡山の奇跡”というキャッチフレーズはとても上手いと思います。よく“岡山県は美人が少ない”といわれますが、たまたま岡山県出身の女性アイドルが少ないだけで、美人が少ないわけではないはずなんですよ。でも、“美人が少ない”という前振りが効いているから“岡山の奇跡”というキャッチフレーズが使えるわけです。もしかすると岡山美少女・美人コンテストの主催者が開催前からグランプリを“岡山の奇跡”を使おうと決め、話題になることを狙っていたのかも…とさえ思いますね」

 人気のアイドルやタレントを見ると、「○年に1度」のようなキャッチーなフレーズを持っていたり、AKB48島崎遥香の「塩対応」キャラのようにキャラが確立していることも求められる。モーニング娘。’15のズッキこと鈴木香音のようにぽっちゃりしていたり、「樽ドル」こと類家明日香や「ブスドル」こと小田切まい(当時)など、特徴的なルックスなど、『個性』が非常に大切なのだろう。

「グループアイドル人気が定着した今、キャッチフレーズが自然とつけられるくらいにキャラが確立している、もしくは突出した何か特技があるアイドルやタレントでないとそう簡単にはブレイクできない状況になっているのだと思います」

 今後も「○年に1度」というキャッチフレーズは個性を表す象徴的な言葉として生まれていくと思われる。逆にいうと、「○年に1度」などキャッチフレーズがつけられないような個性のないアイドルやタレントは生き残れない時代になるのかもしれない。