「日本の喫煙マナー」外国人観光客には高評価 | ニコニコニュース

日刊SPA!

 2020年の東京オリンピックに向け、新国立競技場の建設計画が紛糾するなか、「喫煙環境」についても論争が巻き起こっている。「東京都受動喫煙防止対策検討会」は、ホテルやレストランでの屋内喫煙の禁煙・分煙を義務付ける条例について検討を行ってきたが、「罰則付きの全面禁煙義務化」を推進する医療関係者と、「分煙による喫煙者と非喫煙者の共存」を求めるサービス業関係者の間で主張が対立。その結果、「’18年までに条例化を再検討する」という提言に「国に対して、全国統一的な法律での規制を働きかける」という要素が盛り込まれ、事態は東京都に留まらない広がりを見せている。

 しかし、このように一歩間違えれば“嫌煙ファシズム”ともなる全面禁煙の動きが水面下で進むなか、当の外国人観光客は、日本の喫煙環境をどう評価しているのだろうか? JTBグローバルマーケティング&トラベルが482人の訪日外国人を対象にした調査(※下記参照Q1~Q6)では、意外な結果が浮かび上がった。

 まず、日本の喫煙環境について約9割が「日本人の喫煙マナーがよい」と回答。“嫌煙派”からは度々非難されている喫煙者のマナーやモラルだが、歩きタバコやぽい捨てをする“ブラック喫煙者”は一部に限られ、全体として見れば世界的に非常にマナーへの意識が高い国ということがわかった。

「ほんの一昔前までは、歩きタバコやぽい捨てが平然と行われていたと聞きましたが、それが信じられないくらい街中で吸っている人を見ない」(アメリカ・34歳)

 一方で、「喫煙所の場所が充実している」、「見つけやすい」などの項目に対しては、喫煙者からは比較的低評価。つまり、自国よりも喫煙しにくい環境ということだ。こうした状況にあって、実際にニオイで不快な思いをしたと答えた観光客も、屋外こそ過半数を超えるが、屋内では半数以下。特に喫煙スペースの設置などが進む宿泊施設では約7割が「まったく気にならなかった」と回答。

「貧乏旅行で安いビジネスホテルに宿泊したのですが、そこでさえ館内に2か所ある喫煙所のルールがきちんと守られていた。もっとカオスな状況を予想していただけに、拍子抜けしたくらいです」(カナダ・28歳)

「全面禁煙」を頑なに推し進めずとも、喫煙者と非喫煙者が共存しつつある日本の現状が、すでに世界的に有数の優良国の域に達していることは、Q3の結果からも明白だ。

「禁止されるのではなく、どこで吸えばいいのか明確化されているのがいいですね。単純に禁止されると、やはり喫煙者にとってはストレスになる。かといって、どこで吸えばいいのか曖昧だと気を使って吸えなくなりますから」(ドイツ・33歳)

 さらにこの評価には、Q1で導き出されたように日本人の喫煙マナーのよさも大きく貢献(Q4)。

「喫煙スペースで吸っている人を見ても、煙が極力外部に漏れないように素早く出入りしている。まるで忍者だよ!」(中国・28歳)

 好意的な評価を得た約8割の健全な喫煙者からしても、残りの2割の「ブラック喫煙者」は疎ましい存在。「全面禁煙」と事を急ぐよりも、喫煙者と非喫煙者が協力してブラック喫煙者を駆逐することで事態は好転しそうなものだが……。冒頭の条例検討会に対しても、東京都飲食業生活衛生同業組合は、「五輪招致で流行した『おもてなし』は、日本人の気質である優しい気遣いを意味する。画一的な規制ではない」と意見・要望を表明している。実際、Q5にもあるように、「分煙」という日本独自のルールを発展させた現在の環境に対して、積極的に反対する観光客は全体の2割程度。反対派にしても、その理由のほとんどは「ややこしくて、どこがOKなのか混乱する」(イギリス・30歳)といったもの。

「今の環境はベストなんじゃないかな。オリンピックイヤーにも、ぜひ訪れたいと思ってる。全面禁煙? オリンピックはお祭りで、禅の修行じゃないだから!」(オーストラリア・29歳)

 今の喫煙環境で「来たくない」と感じた観光客は、Q6にもあるように全体のわずか3%ほど。特に、非喫煙者の数値の低さは特筆すべきことだろう。

 日本人の気遣いの文化から生まれた「分煙」という独自のルール。「全面禁煙」によって画一化するよりも、喫煙者と非喫煙者が共存する柔軟な環境を推し進めることこそ、日本の評価をさらに高める道ではないだろうか。

◆外国人観光客482人にアンケート「日本の喫煙環境をどう評価している?」

Q1.日本の喫煙環境の印象について(複数回答)


※回答は(喫煙者、非喫煙者)の順

1位:街中に吸い殻が落ちていない 90.4% 90.4%


2位:日本人の喫煙マナーがよい 93.0% 86.9%
3位:歩きタバコをしている人が少ない 92.8% 82.8%
4位:屋外の喫煙所の数が充実している 60.6% 81.4%
5位:喫煙所の案内が充実している 60.6% 73.9%
6位:喫煙所が見つけやすい 57.7% 71.6%

Q2.日本で煙やニオイなどで不快な思いはしましたか? (非喫煙者)


※回答は(経験していない、1~2度経験した、何度か経験した)の順

・飲食店等の屋内 54.2% 31.0% 14.9%


・宿泊施設等の屋内 68.3% 23.5% 8.2%
・屋外 49.1% 39.1% 11.8%

Q3.自国と比べて、日本の喫煙環境をどう感じましたか?

<喫煙者>


・とても日本のほうがよい…62.0%
・やや日本のほうがよい…18.3%
・どちらともいえない…9.9%
・やや自国のほうがよい…4.2%

<非喫煙者>


・とても日本のほうがよい…37.4%
・やや日本のほうがよい…23.7%
・どちらともいえない…16.0%
・やや自国のほうがよい…8.9%
・とても自国のほうがよい…14.0%

Q4.日本にいる間、あなたの周囲の喫煙者はまわりの人やマナーに配慮していましたか? (非喫煙者)

・いつも配慮している…32.0%


・まあ配慮している…45.3%
・あまり配慮していない…17.1%
・まったく配慮していない…5.6%

Q5.飲食店等において事業者がそれぞれ「喫煙できる店、できない店、分煙の店」と分けて、お客が自分に合った店を選ぶ環境についてどう感じますか?

<喫煙者>


・とても賛成…16.9%
・やや賛成…43.7%
・どちらともいえない…11.3%
・あまり賛成でない…19.7%
・まったく賛成でない…8.6%

<非喫煙者>


・とても賛成…18.5%
・やや賛成…31.5%
・どちらともいえない…29.0%
・あまり賛成でない…10.8%
・まったく賛成でない…10.3%

Q6.現在の日本の喫煙環境が続いた場合に、また日本を訪れたいと感じますか?

<喫煙者>


・とても来たい…50.7%
・やや来たい…29.6%
・どちらともいえない…16.9%
・あまり来たくない…2.8%

<非喫煙者>


・とても来たい…62.0%
・やや来たい…16.0%
・どちらともいえない…20.3%
・あまり来たくない…0.8%
・まったく来たくない…1.8%

― 日本の喫煙マナーは外国人観光客に高評価だった! ―