難民めぐり対立再燃=物流停止の「制裁」応酬―セルビアとクロアチア | ニコニコニュース

 【ベルリン時事】中東などから西欧を目指す難民の対応をめぐり、クロアチアとセルビアが批判を応酬し、互いに両国間の物流停止措置を一時的に講じる事態に発展した。両国には1990年代前半のクロアチア独立をめぐる紛争で民族が激しく対立した過去があり、深刻な関係悪化が懸念されている。

 ハンガリーが15日に対セルビア国境を封鎖して以降、セルビアに着いた難民らはクロアチアに流入。これまで約5万5000人が殺到した。

 クロアチア政府は「もはや限界」として、両国間の検問所の大半を閉鎖。それでも難民の流れは止まらず、21日には協力に応じないセルビアからの貨物輸送車の入国を禁じる「制裁」に出た。

 クロアチアはセルビアに対し、難民をハンガリーやルーマニアにも移送するよう要求。AFP通信によると、オストイッチ内相は24日、「セルビアがハンガリーへの(難民の)ルートを開かない限り、(物流停止)措置は続ける」と強調した。

 だが、セルビアは難民が自らの意思でクロアチアに向かっており、阻止する立場にないと主張している。ブチッチ首相はクロアチアの物流停止を「経済的攻撃だ」と非難。セルビアもクロアチアからの貨物車の入国停止に踏み切った。

 セルビアにとって、クロアチアは欧州連合(EU)各国との輸出入の経路で、物流停滞の打撃は大きい。一方、クロアチアの企業から見れば、セルビアを含む旧ユーゴスラビア諸国は重要な市場で、流通網の確保は不可欠だ。

 クロアチアは25日、EUから一連の経緯の説明を求められ、国境の通過制限を解除したが、状況次第で再導入する構え。ロイター通信は「難民問題が両国関係の時計の針を逆戻りさせている。『貿易戦争』が勃発した」と伝えた。