【鬼怒川災害】救助の邪魔したキー局のヘリ! 飛ばしたのは上層部の意向か! | ニコニコニュース

画像は「YouTube」より引用
TOCANA

「平成27年9月関東・東北豪雨」と気象庁が名づけた、茨城県の鬼怒川などに被害をもたらした大雨による災害。行方不明者の少しでも早い発見が望まれるが、この災害報道を巡ってネット上では物議を醸した出来事がある。それは各テレビ局が災害現場に飛ばしたヘリコプターからの生中継だ。

 当日、各局は現場上空にヘリを飛ばして生中継を行ったが、自衛隊や消防・警察によるヘリによる救助の邪魔との指摘も相次いだ。このような批判は今に始まったことではなく、東日本大震災や阪神淡路大震災でも同様のバッシングがあった。現場の人間はどのように考えていたのだろうか。そこには意外な事実があった。

「結論から言えば、我々現場の人間も飛ばしたくありません」

 こう話してくれたのは、とあるワイドショー番組のプロデューサーだ。

「東日本大震災のときも同じですが、水が街中を埋め尽くしている災害では、ヘリだけが唯一の救助手段です。そのため、ヘリによる救助の重要性は現場の人間ならば、これまでも批判を受けたこともあって、嫌というほど身に染みています。だからこそ、今回も現場の人間は各局が足並みを揃えて飛ばさないのがベストという意見でした。しかし、上層部がそれを許さなかったんです」(ワイドショープロデューサー)

 上層部の意向によってヘリが飛んだとのことだが、そもそもヘリを飛ばさないという意向は、どのような考えから生まれたものなのか。

「過去の批判もありますが、要救助者のSOSの声が報道ヘリの音によってかき消されて陸上で救助を行う隊員に悪影響が出る可能性もあります。また、放送局のヘリを救助ヘリだと思い込んだ要救助者が手を振ろうとして足を踏み外すなど、二次災害とも言える状況を起こしてしまう恐れもあるのです。東日本大震災では、実際そのような形でケガをさせてしまったこともあるので、今回は各局が躊躇したのです」(同)

 ネット上では救助の邪魔という意見が多かったが、それ以外にも事情があったようだ。

「誤解されていますが、音でSOSの声をかき消しているものの、物理的に報道ヘリが救助ヘリの救助を邪魔していることは無いのです。なぜなら救助ヘリは低空を飛びますが、報道ヘリはそれより数百メートル上を飛ぶ決まりになっているので、救助ヘリの運航そのものを邪魔することはありません。ただ、音で邪魔しているのは事実ですし、地上にいる人からしたら同じヘリですから、助けを求めようとするのは当然です。そのため、やはり遠慮するべきという意見が多くなっているのです」(同)

 運用に当たってルールはあるようだが、確かに報道ヘリは無いほうが様々な意味で救助がスムーズになることは間違いないようだ。では、今回はどのような経緯で飛ばすことになったのだろうか。

「そもそもは各局が躊躇しているとの情報が入りましたが、そんな中でNHKがヘリを飛ばしたという情報が入ったんです。そのため、NHKの映像を共同撮影の名目で共同使用することも検討されました。しかし、このアイデアが上層部に上げられて一蹴されたんです。他局と同じ映像などあり得ないと言われたのです。また、NHKは民放とは一線を画しているので、映像を貸してくれる可能性は低いとも言われました。そのため、仕方なく民放も一気にヘリを飛ばしました。ひとつの局が飛ばしてしまえば躊躇しているわけにはいかないので、全局が飛ばしたわけです」(同)

 このような経緯があったものの、結果的には全テレビ局がヘリを飛ばし、批判の的となったのが真相のようだ。

 数々の批判に晒される中で、報道の現場は少しずつ変わってきているようだが、やはりまだ、完全に変わることは許されていないようだ。視聴率獲得のためには仕方ないのかもしれないが、そこには人命が関わっていることを今一度考えてほしいものだ。
(文=吉沢ひかる)


※画像は「YouTube」より引用