赤ちゃん言葉を使ってしまう心理 | ニコニコニュース

赤ちゃん言葉を使ってしまう心理
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赤ん坊を前に「起きたでちゅか~?」といい大人が話しかけている姿を見たことはないだろうか。いつもは真面目な人でも、赤ちゃんや小動物を前にすると砕けた口調になり、いつもは使わないような言葉をなぜ使ってしまうのだろうか。

「教えて!goo」にも、「赤ちゃん言葉を使う人」という質問が寄せられた。質問者によると、「赤ちゃんや動物に向かって赤ちゃん言葉を使う人がいるが、これは意識的なのか無意識なのか」ということのようだ。

■「本能」から生まれるコミュニケーション

ユーザーの答えは、全員一致で「無意識」ということだった。ただ、無意識とはいえ、何も考えていないというわけではないらしい。「赤ちゃんに語りかける際、少しでも赤ちゃんにわかる言葉を使いたい」(fitzandnaoさん)のように、幼児に合わせた会話をしたいという気持ちが働いているようだ。

また、「自分が子どもを産んでからは自然にでるようになりました」(aruarunainaiさん)など、母性本能がコミュニケーションの取り方を変えたという意見も。

だが、もしかすると本人でさえ気づいていない心理学的な根拠があるのかもしれない。心理学者の内藤誼人先生に聞いた。

■思いやりから生まれる「オーディエンスチューニング効果」

「バージニア大学のベラ・デパウロが調べたところ、人間は相手に合わせて声のトーンやボリュームを自然と変えてしまうということがわかっています。これを『オーディエンスチューニング効果』といいます」(内藤先生)

オーディエンスチューニング効果とは、オーディエンス(聴き手)に合わせて話し方をチューニング(調整)すること。これによって、幼児に話しかけるときに赤ちゃん言葉になってしまうという。また、動物に話しかけるときに幼児言葉を使う人もいるが、この場合の対象は必然的に小さな子どもを連想させる小動物になるのだとのこと。確かに、獰猛なライオンや大きな象に幼児言葉を使っている人は見たことがないかもしれない。

■ペットが家族を円滑に!

「ちなみに、ペットがいる夫婦ではケンカがおきにくいことがわかっています。これは、ペットがいることで言葉づかいが優しくなることが理由の一つかもしれませんね」(内藤先生)

幼児言葉や動物言葉を使うことに否定的な人もいるかもしれないが、これがケンカ勃発の抑止力になるのだとしたら大歓迎だ。夫婦喧嘩に悩んでいる人がいたら、まずはペットを飼うところからはじめてみてはいかがだろうか?

●専門家プロフィール:内藤 誼人(ないとう よしひと)


心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。「アドラー心理の言葉」(ぱる出版)、「電車のハシに座る人は成功できない」(大和書房)他、著書多数。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)