調査結果:フリーランサーの半数は、従来の雇用形態の仕事はもう選ばないと回答 | TechCrunch Japan

VCから出資を受ける Upwork(以前の名称はElance-oDesk)と労働団体であるFreelancers Union は、グローバル調査企業のEdelman Berlandと協力して調査を行った。調査結果には、アメリカでフリーランサーとして働く人に関する興味深い情報が多く含まれていた。

この調査には7000名以上が参加し、アメリカの労働統計と合致するようデモグラフィックの重み付けがなされた。全文はここから確認できる。ここでは、これらの団体が見つけた興味深い情報をいくつか紹介する。

アメリカ人の3人の内1人、つまりアメリカで働く34%がフリーランスの仕事をしている

それは昨年、5370万人がフリーランスの仕事を請け負ったことに相当する。衝撃的な数字だ。フリーランスの言葉の意味には少し注意が必要だ。この調査での「フリーランス」には5つの意味がある。「典型的フリーランス」を行う人はその内の1930万人だ。この人たちには雇用主はおらず、プロジェクトベースで仕事をしている。1320万人は「ムーンライター(月が明るい間だけの意)」で、日中は勤めているが、空いている時間にフリーランスのプロジェクトをこなす人たちだ。1410万人は「多様な雇用形態」のワーカーで、パートタイムの仕事と共にフリーランスの仕事もしている。460万人は「短期的」なワーカーで、人材派遣会社を通して採用された人たちも含んでいる。250万人は「フリーランス・オーナー」で、自身もフリーランスを行っているが、他のフリーランスの人も雇用している。

従来の雇用形態を辞め、フリーランサーになった人の内の60%は収入が増えたと回答

この結果は先行き明るい驚きをもたらした。直接比較できない数字ではあるが、それでも信じられない数値だ。調査によると雇用されていた仕事を辞めてフリーランスとなった人で収入が上がったと回答した78%は、一年内にフリーランスでの収入が以前の仕事を上回ったとしている。

この数字を簡単に信じられないのは、フリーランスの仕事を始めても、新しいビジネスを軌道に乗せるまで時間がかかるからだ。また、フリーランスで働く場合の保険などを整えるのが高額だ。例えば、ヘルスケアに関する支払い、社会保障やフリーランスが担わなければならない税金などだ。Freelancers Unionのファウンダーで役員ディレクターのSara Horowitzにこのことについて尋ねたところ、回答の際に「コスト面での差異は考慮しない」と伝えていたことから、この数字は「コストを含めた合算」ではないため、「この回答者の全員が実際に手にした金額が上がったとは限りません」とした。

フリーランサーは楽観的だ。3人に1人以上が、彼らのサービスへの需要は昨年より増加したと回答し、半数は翌年のフリーランスの仕事で得られる収入は増加するだろうと回答した。

インターネットに感謝。回答者の73%はフリーランスの仕事をするのにテクノロジーが役立っていると回答した。昨年の数字は69%だった。

さらに、フリーランスは時間を柔軟に使える点(回答者の76%)とどこからでも仕事ができる点(回答者の75%)を重要視していると回答した。50%の人は、年収をいくら提示されようと従来の雇用形態に戻る気はないと回答した。アメリカの企業にこの声は届いているだろうか?

およそ1660万人のフリーランサーは、収入の10%以上をシェアリングエコノミーから得ていると回答した。昨年の900万人から増加している。(Airbnbのことを見ている。)

もちろん、調査結果には先行きの良い数字ばかりではなかった。

76%の回答者は、ヘルスケアにかかるコストを懸念している。76%の回答者はフリーランスという仕事の性質上、収入が予測できないことに不安を感じているとした。また、回答者の74%は、退職後の貯蓄額を懸念している。

独立した契約形態で仕事をする人たちにはほとんどない、セーフティーネットとなるものが多くある従業員として働いている人に同じことを聞いても同様の高い割合でヘルスケアのコストや退職後の貯蓄額についての不安があると回答するだろう。

より多くの人が独立して仕事を選ぶ方向に進むのなら、彼らが不安に思っていることについて法制度を作る人達は率先して考えるべきだろう。来年は選挙も控えているのだから。茶葉で先行きを占おうとしている起業家たちは、このような全体に関わる重要なトレンドを目に留めておくと良いかもしれない。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter