奥西死刑囚が死亡=無実訴え拘置46年、再審請求中―名張毒ぶどう酒事件 | ニコニコニュース

「名張毒ぶどう酒事件」で殺人罪などで死刑が確定し再審請求中だった奥西勝(おくにし・まさる)死刑囚=写真=が4日正午すぎ、収容先の八王子医療刑務所(東京都八王子市)で死亡した。89歳だった。【時事通信社】
時事通信社

 「名張毒ぶどう酒事件」で殺人罪などで死刑が確定し再審請求中だった奥西勝(おくにし・まさる)死刑囚が4日午後0時19分、肺炎のため収容先の八王子医療刑務所(東京都八王子市)で死亡した。89歳だった。1969年の控訴審で一審無罪判決が破棄されて逆転死刑となり、身柄を拘束されてから46年。その後、最高裁で確定したが、無実を訴え続けていた。

 特別面会人の稲生昌三さん(76)によると、奥西死刑囚の妹(85)に同日午後、死亡の連絡があり、妹と鈴木泉弁護団長が八王子医療刑務所で遺体と対面した。

 葬儀は親族や弁護団、支援者らで近く都内で執り行い、お別れの会を後日、名古屋市内で開く予定。

 61年3月28日夜、三重県名張市の公民館で開かれた地区住民の懇親会で、農薬が混入されたぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡。妻と交際相手を亡くした奥西死刑囚が「三角関係の清算のためにやった」と自白し逮捕されたが、起訴直前に否認に転じた。64年に一審津地裁は無罪としたが、名古屋高裁が死刑を言い渡し、72年に確定した。

 その後再審請求は棄却され続けたが、第7次請求審で名古屋高裁は2005年、「状況証拠から奥西死刑囚が犯人と推認できず、自白の信用性にも疑問がある」として再審開始を決定。しかし同高裁の別の部が検察側の異議を認めて決定を取り消した。最高裁は審理を差し戻したが、同高裁は12年5月に再び開始決定を取り消し、最高裁も改めて弁護側の特別抗告を棄却。第9次再審請求で争っている。

 奥西死刑囚は12年5月の開始決定取り消し後に熱を出し、名古屋市内の病院に入院。翌6月に八王子医療刑務所に移送されていた。