TPP意識の布陣に=カギ握る農水相ポスト―内閣改造 | ニコニコニュース

 安倍晋三首相は7日に行う内閣改造で、大筋合意した環太平洋連携協定(TPP)を推進していく布陣とする意向だ。関係国との交渉を取り仕切った甘利明TPP担当相の留任は既に固めており、国内対策の要となる農林水産相ポストには、自民党の森山裕TPP対策委員長の起用が内定した。

 「農業こそ国の基(もとい)だ。TPPをピンチではなくむしろチャンスにしていかなければならない」。首相はTPP交渉の大筋合意を受けた6日の記者会見で、国内の農業対策に全力で取り組む考えを強調した。

 多くの農産品の関税を撤廃・縮小するTPPで、海外との競争にさらされる国内農業への影響は必至。国会論戦や来年夏の参院選でも大きな焦点になる。首相は農業の競争力強化に取り組む方針を示しており、「業界団体の代弁者」では務まらない農水相の役割は大きくなる。

 農水相ポストをめぐっては、石原派が森山氏を推したのに対し、岸田派が現職の林芳正農水相に代えて宮腰光寛衆院議員の起用を求めていた。森山氏は党内でも有力な農水族議員で、先に米アトランタで行われたTPP閣僚会合に合わせて訪米、政府の交渉を後押しした。ただ、入閣経験はなく、答弁能力や調整力は未知数だ。

 次の農水相は参院選をにらんだ農業予算の取りまとめを担う。1993年末に妥結し、日本がコメ市場を開放したウルグアイ・ラウンド(多角的貿易交渉)では、約6兆円の巨費を投じたが、大半を公共事業に費やされ、競争力の強化にはつながらなかった。

 安倍政権にとってもともと農水相ポストは「鬼門」。第1次政権では不祥事が相次ぎ、短命の原因となった。昨年の内閣改造でも、農水相に起用した西川公也氏は「政治とカネ」の問題で辞任に追い込まれた経緯があるだけに、首相は人選に慎重を期したとみられる。