米国でIPv4アドレスが枯渇、IPv6利用が増加

アメリカでIPv4アドレスを割り当てているARINが、IPv4アドレスが枯渇したことを発表した。これにより、アメリカにおけるIPv4アドレスの取得は、極めて困難なものになる(不可能ではないが)。

ARIN's IPv4 address pool is empty

ARINはIPv4アドレスを企業に割り当てている5つのRIR(Regional Internet Registries)の1つだ。これらRIRは、IPv4アドレスのグローバルレジストリであるIANAからアドレスブロックを与えられている。2011年1月にIANAの管理する最後のブロックが5つのRIRに配布されたが、それらも使い果たされつつある。中国はかなり前にIPv4を使い果たしており、多くのところが完全な枯渇に近づいている

実際に使われていないIPv4アドレスはまだ残っている。一部の大企業(Appleなど)には、サブセット全体が割り当てられているためだ(17.x.x.xはAppleのIPv4アドレス)。理論上、彼らはこれらの一部を返上できるのだが、IPv4アドレスは基本的に限られたアドレス空間であり、たとえそうしてもIPv4アドレスの寿命を数十年ではなく数ヶ月か延ばすにすぎないだろう。XKCDの漫画は、2006年の割り当てを示している。この10年で、格子は完全に埋まっている。

IPv6へ

解決策は、最後のIPv4アドレスでもめる(その結果、価格が高騰する)のではなく、IPv6へスイッチすることだ。この20年に渡って、ネットワーク技術者はこの数年でIPv6がやってくると言ってきた。実際、AWSのようなところやインターネット上のバックボーントラフィックでは、すでにIPv6がかなり使われている。変わるのは目に触れる割合だ。今やIPv6を有効にすることは、可能であるだけでなく実用的になっている。

たいていのOS(モバイルOSを含む)はもう何年もIPv6に対応している。デバイスはデュアルスタックモードで動作しており、IPv6接続とIPv4接続の両方をサポートする。2011年6月の世界IPv6デー(World IPv6 Day)で、Google、Facebook、Twitterといったビッグサイトが、そのバックエンドサービスで公式にIPv6アドレスを有効にした。デュアルスタックにすることで、大部分のトラフィックに問題はなかった。その後、IPv4アドレス空間に戻すことなく、多くの巨大サイトがIPv6を使い続けてきた。

当時のブラウザは、(両方が利用可能なとき)IPv6よりもIPv4を優先していた。(対応するIPv6サイトのない)IPv4ウェブサイトが大量にあったためだ。その後、ブラウザとOSはfirst-to-respondアプローチを取るようになった。IPv4とIPv6の両方へ同時接続し、素早く応答した方を使い続けるのだ。これによりIPv6の利用は増加した。

最近のiOS9リリースもIPv6接続を後押しする。IPv6対応を全てのアプリに要求することにより、iOS9は初めてIPv6だけで動かせるようになる。これにはiOSデバイスにおけるIPv6サービスのテスト方法に関するドキュメントも含まれている。改善されたHappy Eyeballsアルゴリズムによって、iOS9デバイスはIPv6アドレスを見つけると即座に接続を試み、IPv4アドレスを見つけると代わりに使えるIPv6アドレスがないか調べるため、最大25ms待つようになる。したがって、デュアルスタックネットワークの場合、IPv6接続が優先されることになる。

一方、英国では、SkyがIPv6のエンドユーザを100万人抱えており、15番目に大きなIPv6ネットワークになっている。BTは2016年4月までにBTユーザの50%、2016年12月までにHome Hub 5以上を持つ人の100%をIPv6に移行させようとしている。英国外では、ドイツ、ギリシャ、米国、ペルー、スイス、ベルギーで、IPv6のユーザが10%を超えている。Googleのレポートによると、IPv6導入の先月の世界平均は約7-8%米国で約20%だという。デフォルトでIPv6を優先するiOS9とOSX El Capitanが広まることで、2015年は世界平均が10%を超える年になるだろう。ただし、IPv4が消えてなくなるには当分かかるだろう。