「デメリット大きい」の声も=著作権保護ルール、見直しに賛否―TPP | ニコニコニュース

 知的財産分野では、身近な文学作品などをめぐる著作権保護のルールも、環太平洋連携協定(TPP)交渉の結果、見直される方向になった。

 現在、日本では、小説や漫画、音楽などの著作権保護期間は「作者の死後50年」。今年が没後50年の小説家、谷崎潤一郎や江戸川乱歩、作曲家の山田耕筰らの作品は来年から「パブリックドメイン(公有財産)」入りする。だがTPP合意に基づき、法改正を経て「死後70年」に延長された場合、三島由紀夫(1970年没)、川端康成(72年没)らの作品の公有財産化は遠のく。

 これについて「経済的、文化的にデメリットが大きい」と話すのは、著作権問題に詳しい福井健策弁護士。「著作権使用料をめぐる国際収支は大幅な赤字。海外で強い日本の作品は比較的新しい漫画やアニメなどで、保護期間が延びると赤字は拡大する。権利者不明などによる死蔵作品も増えてしまう」と心配する。

 作者の告訴がなくても捜査当局が著作権侵害を起訴できるようにする「非親告罪」化の導入も懸念の的だ。福井弁護士は「動画投稿サイトで盛んなゲーム実況やパロディー発表などの二次創作を萎縮させかねない」と一例を挙げ、文化発展への悪影響の可能性を指摘する。

 一方、日本音楽著作権協会は「国際的調和を図る観点から保護期間延長が必要」との立場。今後もさまざまな議論が続きそうだ。