科学が証明する「ゲームのストレス軽減効果」 | ニコニコニュース

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MakeUseOf:"ゲームをすると、ストレスが取り除かれて、鬱が軽減され、気分がよくなる。"

大げさなことを言っていると思われるかもしれませんが、現時点でこの効果を裏付ける証拠はたくさんあります。今は日常的にゲームをしていない人でさえ、1日のスケジュールの中にゲームをする時間を取り入れると、多くの点で精神面での健康が改善される可能性があるという十分な証拠が実際にあるのです。

この話題に関しては議論の的にもなっていますし、賛否どちらについても多くの調査や研究が行われています。しかし、最近になって、ゲームに有利な研究の説得力が増しています。ゲームに数多くのメリットがあることを認めないのは、無責任と言っても良いでしょう。

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ゲームをするのは誰か?

ゲームの話になると、男の子たちが無我夢中に大画面テレビの前に座って、飽きることなくコントローラーのボタンを押し続け、攻撃的な態度で暴力的なテレビゲームをしているところを思い描くかもしれません。

このような固定観念は、現在どのような人々がゲームをしているのかに関する最新の研究で吹き飛ばされました。エンターテインメントソフトウェア協会が発表した2013年の数値によると、現実には女性が男性に追いつき、ゲームをする年齢層は0歳から100歳まで満遍なく広がっています。

もっと最近の数値では、ゲームをする人の男女比はほぼ同じでした。つまり、現実には、あらゆる職業、あらゆる年齢層の人々が、娯楽としてゲームを楽しんでいるのです。

これほど多くの人々がゲームをするのには理由があります。最近の研究が示唆するところでは、その理由とは、誰にとってもゲームが生活においてストレス解消の有効な手段になっているから(そして、ゲームは楽しいから)なのです。

ゲームと精神的健康

テキサスA&M大学のクリフトファー・J・ファーガソン准教授が実施した2010年度の研究によると、暴力的なゲームを長時間プレイしている人は、男性も女性も、ストレスに対処する精神的スキルが身につきます。また、ストレスの多い作業をしているときも、鬱状態になったり敵対的になったりしにくくなることがわかりました。

ファーガソン准教授は103人の学生に対して研究をしました。准教授は研究結果を以下のように説明しています。

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「この研究では、103人の若い成人にフラストレーションのたまりやすい作業を与え、ゲームをしないグループ、暴力的でないゲームをするグループ、善対悪というテーマを持つ暴力的なゲームをするグループ、暴力的なゲームを「悪役」としてプレーするグループに無作為に分けた。その結果、暴力的なゲームは、感情制御を通じてプレーヤーの鬱と敵対的感情を軽減させることがわかった」

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実際、ファーガソン准教授は、暴力的なテレビゲームが実生活でフラストレーションをうまく処理する方法を見つけるのに役立つセラピーのようなものとして利用できる可能性がある、と示唆したのです。

本記事を読んでいる熱狂的なゲーマーにとっては、この結果は驚きではないでしょう。誰でもいいので、ゲームをする知り合いに、ゲームをする理由を尋ねてみたら、たいていの人が「リラックスするため」とか「ストレス解消」と答えるのですから。

マサチューセッツ総合病院の研究者が、入院中の子どもたちにゲームをする習慣について調査を行ったところ、大半の子どもが、怒りやストレスなどの対処の難しい感情を処理する方法としてゲームをすることを選んでいることがわかりました。

ゲームはストレス解消に役立つ

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンが2014年に実施した研究で、研究者たちが491人の対象者を調べたところ、1週間でゲームに費やした総時間(主にファーストパーソン・シューティングゲームとアクションゲーム)と、「仕事関連のストレスからの全般的な回復」との間には相関関係があることが分かりました。

研究者のエミリー・コリンズ氏とアナ・L・コックス氏は、ゲームをすることと、ストレスにうまく対処することの間には、明確な相関関係があることを確認しましたが、同時に、因果関係が証明されているわけではないと指摘し、その理由を以下のように説明しています。

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ある人がゲームをするとしたら、それは、時間を自分の自由に使って、趣味を追求する能力と性向があるからかもしれないし、ゲームをするという行動そのものではなく、そうすることで仕事-家庭葛藤(仕事と家庭の両立における葛藤)と回復の必要性が軽減されるからかもしれない。

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ですから、理由はどうであれ、自らの意思で仕事後にゲームをする場合は、感じたストレスからの回復が早くなり、翌日には、ストレスにずっとうまく対処できるのです。

このことは、子どもや若い成人に限りません。アメリカ国立老化研究所の研究者たちは、ゲームが認知機能に与えるポジティブな効果を示している研究に興味をもち、アメリカ国立科学財団(NSF)から120万ドルの支援を受けてプロジェクトを立ち上げ、任天堂の「Wii」を使って高齢者の日常的認知機能の改善に役立てようとしました。

明らかに、ゲームは人間の脳に直接的で確実な影響をもたらします。世間一般の考え方とは逆に、ゲームの影響はネガティブではなく、ポジティブなのです。

「サイバーセラピー&リハビリテーション・ジャーナル」誌で発表された2009年のある研究は、カジュアルなゲームがゲーマーに及ぼす影響を調べています。この研究で検証された影響には、脳波(EEG)と心拍変動 (HRV)が含まれていました。

脳波と心拍変動という2つの生理学的反応は、一般的には当人がストレスを受けていることを示すために利用されるもので、常識的に、高い集中力を要する(そして、時間制限があってストレスのある作業である場合が多い)ゲームをしている間は、ますます強くストレスを感じることになるはずです。

しかし、現実にはその逆のことが言えたのです。研究者たちは、以下のような発見をしました。

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「意外にも、それぞれのゲームすべてに、異なるけれども、相補的な形で気分を高揚させる効果がありました。『Bejeweled 2』というゲームでは、左脳のアルファ波を減少させましたが、これは退行的で抑鬱的なタイプの行動の減少と関連があります。また、『Peggle』というゲームでは、興奮や幸福感をもたらす行動と関連する右脳のアルファ波の動きを増加させました」

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研究者たちの最終結論は、さらに驚くべきものでした。ゲームがストレスを軽減するのに役立つかもしれないと示唆しただけでなく、さまざまな精神的健康問題を抱える人々のための実用的セラピーとしてゲームの利用方法があることを示しました。

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「これらの発見からさまざまな予測ができますが、その中には、ストレスに関連した医学的障害を予防および治療するために、カジュアルなゲームを利用するという方法の開発の可能性が含まれています」

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この発言は、1日の中で少しの時間に、ゲームをすることは、精神と身体の健康にとても良いことなのだ、とあらゆる人に納得してもらう大きな根拠になります。

これらの発見は、2007年に行われたマックギル大学の先達的研究を裏付けるものでした。マックギル大学の研究では、研究者らが「ソーシャルインテリジェンスゲーム」と呼ぶゲームをすることで、ストレスホルモンのコルチゾールが、驚くべきことに17%も減少することがわかったのです。ゲームをすることで、今のようにストレスで神経をすり減らさなくてよくなることは、きわめて明らかなように思われます。

毎日少しはゲームをしよう

上述の研究や、この研究分野における近年の発見は、私が日々のスケジュールを変更して、毎日ジムへ行って最低1時間はトレーニングすることに加えて、ゲームをする時間を取ろうという気になるのに十分なものでした。

アクション満載のシューティングゲームから、ネットや携帯電話で遊べる手軽な知能ゲームまで、本当にどんなゲームでも効果はあるようです。

あなたはストレスを軽減するためにゲームをしますか? するのなら、あなたにとってどんなゲームが一番ストレスを軽減してくれますか? ゲームを日常的にしない人は、これからゲームをしたくなっていますか?

Science Proves that Playing Video Games Reduces Your Stress|Make Use Of

RyanDube(訳:松田貴美子、吉武稔夫/ガリレオ)
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