『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』インプレッション くり返しプレイするごとに、新たな発見と挑戦がみつかる | ニコニコニュース

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文:ライター 戸塚伎一

●キュートで寡黙なへルパーロボ、ふたたび!!

 身長10センチメートルの家庭用お手伝いロボ“ちびロボ“を利用していたのは、いまから約10年前。当時は家の掃除とか、ちょっとしたお願いごととか、いろいろしてもらったものです。彼は彼で、家族からハッピー(ちびロボの働きによって湧き上がった、幸せな気持ち)を回収していたようですが、そのおかげか、現在もこうして夫婦円満で暮らせています……と、現実とゲームの混同ネタでいきたかったのか、ノロケたかったのかよくわからなくなってしまいましたが、私が『ちびロボ!』のシリーズ作をがっつりプレイするのは、第1弾のニンテンドーゲームキューブ版以来、ということを言いたかったのです。そんなわけで、最新作『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』をプレイした時は、少しばかり、いや、かなり衝撃でした。

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よい子はマネしないでね! 電源コードぶん回し型アクション

 まず、ちびロボの目的意識が違います。過去のシリーズ作では、“限定された生活空間内の問題解決・清浄化”というテーマが一環していたように思いますが、今作は、“地球の資源を狙う宇宙人の撃退”と、スケールが壮大に。舞台は地球全土、ちびロボは寡黙なメタリック・ソルジャーとして、世界の脅威に立ち向かいます(全体的なノリは、あいかわらずゆるめですが)。

 ちびロボのメイン武器は、お尻から伸びている電源プラグコード、通称“ヒップラグ”。シリーズ作同様、時間経過やダメージを受けた際に消費する本体バッテリーの充電や、各種電機系ギミックの作動手段として使ったりもしますが、これを振り回して投げつけることで、敵や障害物の破壊、アイテム回収、はりつき可能な壁からのワイヤー移動……など、多彩なアクションを展開できます。

 ヒップラグには、コード長が短く、投げる方向が固定されているものの連打がきく“クイックスロー“と、ボタン長押しが必要なかわりに、最長3メートルのコードを360度全方位に投げられる”パワースロー“、2タイプの投げかたがあります。これらを場面に応じて使い分けながら、ステージのゴールに向かって進んでいくのが、基本的なゲーム内容となります。ヒップラグは、ふつうの壁にぶつかると、なぜか反射します。この性質を利用して、まっすぐ伸ばしただけでは届かない、はりつき用の壁にフックさせたり、細くて通り抜けできない通路の先にあるアイテムを取ったりといったことができます。フィールドの地形を見て、どこの壁にどんな角度で投げればいいか考え、位置を微調整してスロー! という一連の操作は、アクションゲームとしてのテンポを一時中断するものの、すごい長さのヒップラグが猛スピードで伸縮する様子には、また違った爽快感があります。強制スクロールステージなどで、迅速にパワースローを実行しないと即ミス、みたいな場面では、”わかっちゃいるけど手が追いつかない感“を何度か味わった末に突破……という、学習型アクションゲームの醍醐味を存分に味わえるでしょう。

 各ステージも、くり返しプレイするごとに、新たな発見と挑戦がみつかるような構成になっています。素直に道なりにプレイしていたのでは気づかないルートや、見えているのにうっかり取り逃してしまう場所に配置されているコレクション用アイテムがぎっしり用意されているので、一度クリアーしたからもういいや、というわけにはいきません。しかも、ステージセレクト画面で顔マークがついているステージを選ぶと、“迷子の宇宙人“と遭遇することができ、コイツを連れて仲間のUFOに返してやる──というか、ヒップラグでスローしてぶつけてやると、ちびロボの新コスチュームが手に入る仕掛けも用意されています。ゲームの方向性は過去のシリーズ作とずいぶん違いますが、ちびロボの愛らしさはそのままなので(ちゃんとゴミ拾いします)、彼のいろんな姿を楽しみたいプレイヤーは、じっくり取り組む価値アリです。

ちびロボとの、次元を越えた“新たな関係”を築こう!

 やり込みがいある2Dスクロールアクションとして十分な作りの『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』。そんな本作のゲームプレイをより魅力的にするのが、現実とゲームを混同させる、いくつかの要素です。

 コレクション用アイテムのカテゴリーのひとつである“お菓子“は、実在のお菓子メーカーが実際に製造・販売しているものばかり。入手すると、パッケージを眺めたり、説明文を読んだりすることができます。また、お菓子入手時には、Miiverse(ニンテンドーネットワークIDでアクセスできるソーシャルネットワーク)への投稿ボタンが、タッチスクリーンに表示されます。”いまの気持ちを投稿しましょう”って言われても……「食べたくなっちゃった」って書くしかないじゃないですか!(笑) ゲーム内で手に入れたお菓子ネタでフレンドとの会話に花を咲かせるにしろ、そのまま近所のスーパーかコンビニに買い出しに行くにしろ、実在のお菓子がゲーム内に登場するからこそのリアクションが生まれやすくなるのは、間違いありません。

 ゲームソフト同梱、またはソフトと同日に単体で発売されるちびロボのamiibo(フィギュア型ゲームアクセサリー)の存在も、現実世界とゲーム世界をいい具合にクロスオーバーしてくれます。

 ゲーム中のさまざまな場面でタッチ(近距離無線によるデータ通信)することでプラスアルファの効果を得られるのは、基本中の基本。UFO状の移動式基地・ちびロボハウスで登場キャラクターを模したフィギュアのガチャ“ちびシャカポン”ができるようになり(※1回ごとにゲーム内コインを使用)、コレクションルームで、フィギュアをじっくり眺めたり、並べて撮影できるようになります。コレクションルームがあるちびロボハウス2階には、amiibo連動がないと行けない……というのも、ファン心をくすぐります。

 ステージプレイ中、amiiboをかざすと、ちびロボがゴールデン・ソルジャーこと「スーパーちびロボ」にパワーアップ。充電バッテリーの最大値が通常の約2倍に増えるほか、全体的に動きがキビキビとし、さらにテンポよく遊べるようになります。とくに、パワースローのボタン長押し時間の短縮と、ホバー移動時の滞空時間の延長は、アクション性の高いステージの攻略に苦戦しているプレイヤーにとってありがたいはずです。1日のうちにスーパーちびロボになれる回数は、ゲームプレイを重ねてamiibo内のデータを”成長”させることで増えていくため、やり込みゲーマーの目標のひとつにもなるでしょう。

 こうした実用面もさることながら、amiiboの人形の大きさが、ちびロボの設定(10センチメートル)とほぼ同じという点が、最大のポイントです。プレイ中、そばに置いておくだけで、いまにも動き出しそうな臨場感が伝わってくるはずです!

 シリーズ誕生10周年のタイミングでリリースされる最新作で、現実世界にググッと迫ったちびロボ。20周年目には、自律行動が可能な”リアルお手伝いロボット版”が登場しているかもしれないな……なんて想像しながら、プレイしてみるのもいいかもしれません。

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