カリフォルニアの大規模な山火事はある意味人災かもしれない


今年カリフォルニアで起こった山火事は過去最大規模のものでした。

アメリカでは、米国フォレストサービスが山火事から山林を守る活動をしています。その活躍もあり、1920年から山火事の発生件数は順調に減少しています。しかし1970年以降、なぜか年間の山林消失面積がうなぎ上り。2010年の消失面積は1970年の2倍以上にも広がっています。

一体どういうことなのでしょう?

山火事が発生し、早い段階で消火活動をすると、山林がある程度燃え尽きる前に鎮火することになります。すると、燃え残った木々の間に新しい木が生え育ち、森林の密度が高くなります。密度の高い森林で山火事が発生すると、隣の木に燃え移りやすいため、結果的に速く大きく燃え広がることになるというわけです。

それに伴い、フォレストサービスの予算の中で、山火事の消火活動に対する費用も増大。1995年は全体の16%だったものが、2015年はすでに52%も山火事の消火活動に使われています。



山火事対策というのは消火活動がすべてではありません。自然発生した山火事は、そのままにしておいても天候などで自然と鎮火することがあります。その方が不要に森林の密度が高くなることもありません。

また、適度に間伐をして森林の密度を下げれば、山火事が発生しても燃え広がる速度は遅く、範囲も狭くなります。実際、間伐していない森林の消失率が90%以上だったのに対し、間伐した森林の消失率は49%でした。

しかし、フォレストサービスの予算は1970年から変わらず。山火事の消失面積は増える一方なので、消火活動の費用がかさみ、予防のための対策に費用が割けません。予算を増やしてくれるよう申請しても議会からは却下されます。

地球温暖化が進み、森林は以前にも増して乾燥し、人間の住宅地はより森林に近づいています。一度山火事が起こると、被害が拡大する条件が揃っています。このような状況で起こった山火事は、きっかけこそ天災だとしても、被害に関しては悲しいかな人災と言えるのかもしれません。


Casey Chan - Gizmodo SPLOID[原文
(的野裕子)