「軍隊を考えてもいい」SEALDs奥田愛基が問いつめられてポロリ発言!! "民主主義"ってナンダ!? | ニコニコニュース

イメージ画像:テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』番組情報サイトより
TOCANA

――芸能記者兼・テレビウォッチャー加藤が「なんかヘンだよ、この芸能人。このテレビ番組、ちょっとアレじゃない?」と感じた時に書くボヤキコラム

 9月25日未明、『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)にSEALDs(シールズ)の奥田愛基が出演し、「長くても次の参院選で明確に僕たちは解散しようと思っています」と宣言した。また同番組で奥田は、「先制攻撃しないのであれば、軍隊というものを考えてもいい」とまで発言している。

 1992年生まれの奥田は高校卒業後、東日本大震災の被災地支援にかかわり、短編ドキュメンタリー『生きる312』を製作。同作は国際平和映像祭でグランプリを受賞した。また、2013年12月に立ち上げた特定秘密保護法に反対する学生団体「SASPL」(サスプル)を基に、今年5月に「SEALDs」(自由と民主主義のための学生緊急行動)を設立している。

 正直、SEALDsのことを完全にレフトサイドの集まりだと思っていたが、どうも違うらしい。番組で奥田は、「メンバーの中には改憲の人も護憲の人もいる」と説明し、安保法案成立に至るまでのプロセスに反対するという主張に終始している。

『朝まで生テレビ!』という番組は奥田が生まれる5年前、1987年にスタートした討論番組である。政治、外交、年金、原子力発電のほか、部落差別や天皇制など、これまでタブーとされていたテーマにも切り込んでおり、たまに途中退場するパネリストが見られるほど、毎回熱い討論が展開されている。

 司会の田原総一朗は、テレビ東京の前身である東京12チャンネルに、開局とともに入社。ドキュメンタリー番組のディレクターとして活躍した。ドキュメンタリー青春『バリケードの中のジャズ~ゲバ学生対猛烈ピアニスト』(1969年)では、「ピアノを弾きながら死にたい」と漏らしたジャズピアニスト・山下洋輔を学生運動で暴動が起きていた早稲田大学に連れていき、ゲバ棒を持っている学生の前でジャズの演奏をさせた。

 現代メディア×サイボウズ式のサイト『往復書簡』で、田原は『朝まで生テレビ!』について、「僕は自分のことを司会だと思っていない。"表に出るディレクター"だと思っている」と明かしている。さらに、「面白ければいいんだよ。僕は討論をまとめる気はまったくない。僕なりに構成を一応作るんだけど、本番では全部ぶち壊す。構成通りにいったらつまらないから」と話している。田原は、番組当初からこの一貫した姿勢を崩していない。

 ところで、なぜ奥田は、「軍隊を考えてもいい」と言ってしまったのだろう。デモで、「戦争反対」と絶叫していたのは一体なんだったのだろうか。番組でこの発言に至るまでの流れをおさらいしてみよう。

 田原が、「軍隊は持つべきか?」と聞くと、奥田は、「どのような軍隊なのか? 軍隊といっても、スイス軍なのかアメリカ軍なのかでイメージ違いません?」と聞き返す。漫画家の小林よしのりが、「要は盾と矛を両方持っていいかどうか。自衛隊は盾を持っているが矛がない。侵略されたときに追い出すことはできるけど、報復はできない」と説明する。加えて田原は、「つまり、恐ろしく弱い国よ。奥田さん、それでいいの?」と改めて質問する。そこで奥田から出てきた答えが、「先制攻撃しないのであれば、軍隊というものを考えてもいい」だったのだ。

 このシーンは番組の見せどころでもある。前出のサイトで田原は、「やっぱり相手が答えに困って、混乱したときはしめしめと思うね」と語っている。奥田はこの演出に見事にハマってしまったのではないか。いや、奥田は表情を変えずに淡々と答えていたので、元から軍隊自体は否定しておらず、ただプロセスに反対していただけなのかもしれない。また、「軍隊を考えてもいい」という表現に留めている面も見逃せない。

 このシーンの捉え方は人それぞれである。奥田は軍隊について自身の意見を断言することを避けた。さまざまな見解を受容できる世界が民主主義である。「民主主義ってなんだ」とシュプレヒコールをあげていた奥田は、番組で民主主義を体現してみせたのではないか。私はそのように解釈した。
(文=加藤宏和)


※イメージ画像:テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』番組情報サイトより