Appleによる制裁か 「マンガ無双」「マンガ姫」などのアプリメーカー・Nagisaがアカウントごと削除される異例の措置に | ニコニコニュース

同社の代表的アプリ「マンガ無双」と「マンガ姫」。合計200万ダウンロード以上の人気マンガアプリ
ねとらぼ

 アプリ開発メーカー・Nagisaの提供するiPhoneアプリが、10月7日にApp Storeからすべて削除されていたことが分かりました。それまでは20本近くあった「Nagisa-inc.jp.」名義のアプリですが、現在は検索しても1本も表示されない状態。

【検索結果からも「nagisa-inc.jp.」が消滅】

 また10月8日の深夜には、それまでApp Storeで“nagisa”と入力すると検索候補に表示されていた“nagisa-inc.jp.”も消滅。これは検索インデックスから社名が削除されたことを意味し、アカウントの抹消であることが分かります。

●100万ダウンロードを超える人気アプリを多数リリース

 Nagisaによると、同社では2015年7月までで累計2000万ダウンロードを超える実績を残しているそうです。人気アプリも多く、無料マンガアプリ「マンガ無双」「マンガ姫」などは、合計200万ダウンロードを超えてApp Storeランキングの常連となっていました。

 さらに動画撮影・編集アプリ「SLIDE MOVIES」と「GOODTIME」でも500万ダウンロード。また放置育成ゲームとして、無料総合ランキング1位の「今日、彼女が死んだ」、ランキング3位「お金を愛しすぎた少女」、ランキング11位「49人目の少女 」なども話題となっていました。

 また数多くのライセンシー企業ともコラボしており、よしもとクリエイティブ・エージェンシーとの協業による「今日、NON STYLEの井上が死んだ」「ラッスンゴレライ! 感染列島〜8.6秒バズーカー公式アプリ〜」、サンリオとの協業で100万ダウンロードを超えた「おさんぽハローキティ」や「おでかけマイメロディ」などもありますが、こちらは提供先企業での配信のため削除されていませんでした。

●度重なる“規約逸脱行為”がBANの原因?

 ただ、上記マンガアプリでは、Appleの審査のときだけ「一般作品」を読むことができるようにしておき、審査通過後に「サーバースイッチ」と呼ばれる技法で、隠していた「アダルト漫画」を配信するという、かなりグレーな手法も行われていました。

 このためAppleからはたびたび警告を受けており、そのたびに「該当するマンガアプリがApp Storeから削除される → サーバースイッチをアダルト非表示に戻して再申請 → 審査通過後、アダルト作品を再び配信 → App Storeから削除」を繰り返していたことから、今回の措置へ至ったのではないかと業界内ではウワサされています。

 また今年7月には「恋する図書館」にて、他の出版社サービスに投稿された小説が無断で閲覧できるとして問題となり、サービスを終了して謝罪文を掲載する事態となりました。この中でNagisaは「新しいサービスの企画、開発を行う際は、法律的、倫理的な観点で問題無いか確認することを義務付けるともに、全社への法律的、倫理的教育の徹底を行う」と伝えていました。

アカウントごとBANされるのは極めてまれなケース

 今回のように企業名義のアプリが一斉に削除されて、App StoreのアカウントがBANされてしまうのは極めてまれで、相当数のAppleによる警告を無視するなど、あまりにも規約から逸脱した場合にしか考えられません。果たして法律的、倫理的な観点で問題とならないようなアプリビジネスを行っていたのか疑念が残ります。

 今回の件についてNagisa広報に電話で問い合わせたところ、「お客様に大変ご迷惑をおかけして申し訳ない」と前置きしつつ、「10月6日の深夜から10月7日の早朝にかけて、App Storeから削除となったことは把握していますが、経緯と状況については確認中で、すべて不確定となります。社内で取りまとめている最中のためコメントできません」との回答でした。また削除は深夜となりましたが、当該時間帯に社員が勤務していた実態はない(=社員が自主的にアプリを削除した可能性は低い)そうです。

●追記

 10月9日夜、Nagisaサイト内に「App Storeにおける弊社デベロッパーアカウントに関して」とのお知らせが掲載されました。デベロッパーアカウントの停止措置を受けたのは事実で、詳細については現在Appleに確認中とのこと。併せて、「これまで弊社アプリケーションの開発環境の提供から、審査、およびApp Storeでの配信をしてくださっておりました米アップル社に多大なご迷惑をおかけしたことを真摯に受け止め、開発及びサービス運営の体制改善の着実な履行を、社を挙げて取り組んでいく所存」とコメント、また関係者やユーザーに対し「ご迷惑、ご心配をおかけしたことに深く、お詫び申し上げます」と謝罪しています。