500トンの水と船を持ち上げても、電気はほとんど使ってません


下手な遊園地も真っ青です。

高さの違う2つの運河をボートが行き来する時には、ボートのためのエレベーターが使われます。こちらのエレベーターはスコットランドにあるファルカーク・ホイールと呼ばれるもの。下の運河と上の運河の高低差は25メートル弱だそうです。トム・スコット氏のこちらのYouTubeビデオはこのかっこいいエレベーターが見た目だけでなく仕組みまでかっこいい点を説明してくれます。


ファルカーク・ホイールには回転の軸を中心として両側に船が乗り込める2つの大きな箱があります。そしてそれぞれの箱には常に500トンの水が入っています。片側にボートが乗り込んだ際、ボートが押し出す水の重量はボートの重量と同じなので箱の中の重さは全く変わらずに500トンのままになります。(ありがとうアルキメデス!)

そのため2つのエレベーターは常に重量のバランスが釣り合っていることになります。そうすると動かすのに必要なエネルギーが格段に小さくなります。なので必要な電力が大幅に少なくなっているそうです。

単純に500トンの水をこれだけの高さまで持ち上げるためには、摩擦の影響を除いて考えても最低でも32キロワット時の電力が必要になります。これはイギリスの平均的な家庭が3日間で使用する電力量に相当します。しかしこのエレベーターのように片側にもう一つ、同じ重量の水が降下している場合、大きくて重たい物が動き続けているだけで理論上は全く何の力も加えられていないことになります。

この仕組みを利用したことで、ファルカーク・ホイールは一回の上昇になんと1.5キロワット時しか電力を使っていないそうです。20分の1以下にまで減らしているんですね。トムさんによると、世界には下がって行く箱に水を大目に入れておくことで、重力の力だけを使ってボートを上下させるエレベーターも存在するそうです。


Chris Mills - Gizmodo US[原文
(塚本 紺)