収入を隠した不正請求などで支給された生活保護費のうち、適切な返還請求手続きがされていない債権額が約112億円に上ることが20日、会計検査院の調査で分かった。検査院は「時効で回収不能になる恐れがある」として、厚生労働省に、事務を行う地方自治体への指導徹底を求めた。

 生活保護法は(1)所得や財産を偽った不正申告(2)保護後に財産が処分できた場合―は受給した保護費を返還すると規定。返還請求や督促は地方自治体が行い、手段を尽くしても回収できない場合に限り、欠損処理した4分の3を国が負担している。

 検査院が21都府県を抽出調査したところ、2013年度末時点で返還されていない債権額は13万件、計約490億2000万円。不正請求によるものが3分の2を占め、約2万件は半年以上返済が滞っていた。