メディア関係者は全員クロ? 日本に潜む「中国スパイ」の実態 | ニコニコニュース

今年5月から6月にかけて、合計4人の日本人が中国国内で「スパイ容疑」をかけられ、拘束されていたことが明らかになった。

なぜ、彼らは捕まったのか? 日中両国の諜報・防諜能力はどれほどのものか? 前代未聞の外交問題に発展しつつある事件の水面下で、火花散る両国の“スパイ戦”の実態に迫る!

■留学生、ビジネスマン、メディア関係者…

今回の一連の拘束事件では、事の真偽はどうあれ「日本によるスパイ活動」に焦点が当たっているが、一方の中国は、日本に対してどのような諜報活動を仕掛けているのだろうか?

中国の事情に詳しい日本政界関係者はこう語る。「中国には、古くは明(みん)の時代から、華僑社会をベースに海外へ広く情報網を構築してきた歴史がある。情報というものへの意識、感度といった部分も含め、日本とはまったく違います。

例えば、基本的に日本へ来る中国人留学生は、駐日中国大使館と定期的に接触を持ち、留学先、研修先によっては定期的にレポート提出も求められます。日本企業に採用された中国人ビジネスマンも同様です。

さらに、もちろん人民日報社や新華社通信社など中国の報道機関に所属している特派員や記者の中には、当局の意を受けて諜報活動を行なっている者が少なくありません。というより、コミットの度合いの差こそあれ、ほとんどは“クロ”だといっても間違いではないでしょう」

また、中国国内でも日本に対する“監視”は日々行なわれている。ある中国政治研究者はこう語る。

「表向きは中国国内のメディアに勤務していながら、実際の仕事は日本の報道分析だという人物と話をしたことがあります。その分析官いわく、『共同通信や日経新聞はサッと読む程度だが、保守系の読売新聞や産経新聞はもちろんのこと、近年、中国の人権問題などについて突っ込んだ報道を連発する朝日新聞も厳しくチェックしている』とのこと。また、『地方紙は反政府的な編集方針が多く好感が持てる。特に沖縄タイムスの論調は最高だ!』とも言っていましたね」

全国紙のみならず、地方紙までくまなくチェックしているのだ。

日本国内での諜報活動に話を戻せば、2012年には、人民解放軍の情報機関出身の駐日中国大使館一等書記官が日本政界に食い込んでスパイ活動を行なっていたことが明らかになった。

「実際、当時メインプレイヤーとしてスパイ活動をしていたのは、日本の副大臣クラスを利益誘導で操っていた帰化中国人の貿易業者や、著名な外交評論家の事務所に出入りしていた、日本人との結婚歴もある永住権取得済みの中国人女性でした。

中国の国家安全部(中国版CIA)は、このようにエージェントを日本人と結婚させるなどして永住権や日本国籍を取得させ、長期にわたり情報収集させる方法を用いることが多い。

こうして核になるエージェントを確保した上で、スパイ活動に従事させると同時に、周辺にいる多くの帰化者、特に中国本国の親族に軍人や共産党幹部、公務員のいる人をピックアップし、その中に日本の公安調査庁などの協力者―つまり“裏切り者”がいないかどうか、洗い出しを図っているのです」(前出・政界関係者)

実は、上海で拘束された日本人女性D氏は中国からの帰化者だという情報もある。もし事実なら、このような中国側の“帰化者エージェントの網”にかかり、泳がされていた可能性も否定できない。諜報戦の闇は深い―。

■週刊プレイボーイ44号 (10月19日発売)「総力ワイド 日中スパイ戦 エグすぎる内幕」では、さらに習近平政権の「摘発大号令」、中国当局“マイルド拷問”の実態など、両国のスパイ戦の実態に迫る!

(取材/世良光弘 川喜田 研 興山英雄)