【ニューデリー時事】インドのニューデリー近郊で20日、伝統的な身分制度カースト制で最底辺とされる「不可触民」の自宅が放火され、2歳の男児と生後9カ月の女児が死亡、両親も重度のやけどを負った。

 事件があった村では昨年も、カースト制の上位階層と不可触民の抗争で3人が死亡している。一家は上位階層から脅迫を受けていたといい、カースト間の争いが原因とみられている。

 報道によると、何者かが午前2時ごろ、窓からガソリンを流し込み、火をつけた。父親はテレビ局の取材に「ガソリンの臭いに気付いて妻を起こそうとしたが、すぐに火がつけられた。『村を出ないと家族を殺す』と脅迫されていた」と語った。

 不可触民はカースト制のどの階層からもはじき出され、汚れと差別の対象とされてきた。経済発展が進む現在でさえ下位カーストとの結婚は忌避されるなど、差別は各地で根強く残っている。