年配者が若者に説教したくなる心理学的メカニズム | ニコニコニュース

年配者が若者に説教したくなる心理学的メカニズム
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いつの時代にも、若者の言動に違和感を覚える年配者はいるものだ。飲み会の席などで、「最近の若者は……」と始まる説教に、苦い思い出がある人は多いのではないだろうか。しかし、その説教をしている年配者も、かつては若者。その当時は、きっと同じように「最近の若者は……」と説教されていたに違いない。

では、いつの年配者もこうした説教をするのはなぜなのだろうか。心理学者の内藤誼人先生に話を聞いた。

■価値観の違いが問題のタネ

「単純なジェネレーションギャップです。人間は自分の価値観を共有していない人には嫌悪感を抱き、距離を取りたいと思ってしまうのです」(内藤先生)

価値観の違いからくる嫌悪感が、年配者の「最近の若者は……」という説教につながる原因だということだろうか。

「問題は年配の人と若者が価値観を共有していないことです。そのため、『最近の若者は……』というお説教をしたくなるのです。一方、若者も価値観を共有していない人のことは気に入りませんから、『なんだ、あのオヤジは』といった発言をするのです。お互いに嫌悪感を抱き合っているのです」(内藤先生)

■価値観の共有が起こる周期

その一方で、高齢者が子どもをかわいがる光景をよく目にする気がする。当然、価値観の共有はない世代同士である。だとすれば、「最近の小学生は……」などという説教も聞こえてくるはずだが、実際にはあまり耳にしたことがない。これについてはどうなのか。

「例えば、かつてミニスカートが流行した後ロングスカートがブームになりましたが、その後は再びミニスカートが流行するという現象が起きました。このように、文化的な価値観は30年から50年の周期で一周するといわれています。そう考えると、おじいちゃんと孫の価値観は、意外と一致するのです。人間は価値観の違う人には嫌悪感を抱きますが、価値観の一致する人には好意を抱くのです。そのため、おじいちゃんの世代と孫の世代は仲良くできるのですね」(内藤先生)

年配者が価値観の異なる若者に「最近の若者は……」と説教してしまうのは、どうやら仕方ないことのようだ。こうした説教の原因が価値観の違いにあるのだとすれば、話し合うことである程度解決することができる気もする。結局、お互いに相手を理解しようと努力することが大切なことなのかもしれない。

「教えて!goo」では、「世代の違う人に不満を感じたことはある?」ということで、みなさんからの疑問や相談を募集中だ!

●専門家プロフィール:内藤 誼人


心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。「アドラー心理の言葉」(ぱる出版)、「電車のハシに座る人は成功できない」(大和書房)他、著書多数。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)