「1票の格差」が最大2.13倍だった昨年12月の衆院選は憲法に違反するのか。二つの弁護士グループが選挙無効を求めた17件の訴訟で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は25日、統一判断を示す。専門家は「違憲」の可能性は低いと指摘する一方で、多数意見を支持しなかった裁判官の反対意見に注目する。

 焦点は、各都道府県にまず1議席を割り振る「1人別枠方式」を規定から削除し、小選挙区数を「0増5減」した国会の措置だ。最高裁が2011年、別枠方式が格差を生む要因だと批判し、最大2.30倍だった09年の選挙について「違憲状態」と判断したことを受け、13年までに法改正が行われた。

 最高裁は13年、法改正が間に合わずに格差が最大2.43倍まで拡大した12年選挙も違憲状態と判断。「問題解決の合意形成には困難が伴い、見直しをだんだんと重ねることも許容される」として、国会の対応に理解を示した。

 一橋大の只野雅人教授(憲法)は、今回の最高裁判決について「法改正から選挙までの期間を考えれば、違憲はないだろう。合憲もあり得るが、是正作業は進んでおらず、国会に警告を発する違憲状態が必要ではないか」と話す。