ミス・アース台湾代表、主催者から「Taiwan」タスキ外すよう迫られ抵抗 Facebookで訴える | ニコニコニュース

サーチナ

 世界4大ミスコンテストの1つとされるミス・アースコンテストに参加した台湾代表の女性が22日、「Taiwan R.O.C」と書かれたタスキを「Chinese Taipei」のタスキに掛け替えるよう主催者から強要されたと告白した。中国メディア・環球時報が23日報じた。

 記事は、同コンテストに台湾代表として参加した丁文茵さんがFacebook上で「中国大陸からのクレームがあったようだ。主催者がタスキの掛け替えを求めてきた」と告白したと紹介。主催者から「替えるか、退場するかだ」と言われて憤慨し、「台湾は台湾だ」として抵抗したという。

 台湾のネットユーザーからは同情が寄せられる一方で「これが現実。受け入れるしかない」との声も出たという。さらに、上海台湾研究所の倪永傑常務副所長が「1980年代から『チャイニーズ・タイペイ』として国際大会に参加するという五輪モデルがある。ミスコンテスト主催者の判断は正当だ。台湾当局は、市民への国際的常識の教育を強化すべきだ」と解説したことを併せて紹介した。

 「Taiwan」表記をめぐる問題は、しばしばスポーツの国際大会において取り沙汰されるが、今回はミスコンテストの場でトラブルが発生した。Facebook上にある丁さんのファンページに掲載された、丁さん本人によると思われる書き込みは、「国際ミスコンで台湾の名称を用いるのは初めて」、「なぜか分からないが、光栄にも私が台湾のタスキを着けることになった」と説明したという。主催者がタスキを誤って用意した可能性もありそうだ。

 いずれにせよ、2008年に始まった馬英九政権のもとで、台湾側が大陸に歩み寄る動きが活発化する一方で、両者には到底埋まることのない情緒的な溝が存在することを改めて認識させるトラブルと言えるだろう。(編集担当:今関忠義)(イメージ写真提供:123RF)

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◆解説◆


 上記記事にある「ROC」とは、中華民国の英語訳の「the Republic of China」の略記。「Chinese Taipei」について、中国では「中国台北」と訳される場合と「中華台湾」とされる場合がある。かつては「中国台北」と書かれる場合が多かったが、馬英九政権になって「中華台湾」も出現した。中国に接近する姿勢を支援する考えで、台湾人を刺激しないよう配慮した可能性がある。

 上海台湾研究所の倪永傑常務副所長による、「チャイニーズ・タイペイ」についての説明は、同呼称が使われるようになった経緯をきちんと紹介していない。国連など政治組織や国際五輪委員会(IOC)などのスポーツ団体、その他の国際組織では、国共内戦に敗れた国民党が台湾に逃れた直後から「中国代表問題」があった。特に、1971年に中国が国連に加盟し台湾が脱退すると、「台湾代表」をどう扱うかが大きな問題になった。

 IOCは1960年代、台湾側に対して、代表団の名義を「台湾」または欧米でよく知られる「フォルモサ」を使うように提案した。拒否したのは台湾側だった。「中華民国こそ中国の正統政府であり、台湾だけを代表する政府ではない」との主張があったからだ。

 現在の台湾では、国共敗戦に伴い大陸から移ってきた人の子孫を含め「自分は台湾生まれの台湾育ち。私の人生の舞台は大陸と関係ない」との原因で、「私は中国人ではなく台湾人」との意識を持つ人が増えている。台湾人の意識が変わった以上、「チャイニーズ・タイペイ」の呼称を嫌う人が増えるのは、当然だ。(編集担当:如月隼人)