読むべき本がたくさんあるのに、読む時間がありません | ニコニコニュース

プレジデントオンライン

――出口さんは、多忙な現役経営者としては随一の読書家と言われますが、どのくらい読んでいらっしゃるのですか?

ベンチャーの経営は忙しいので、今は1週間に3~4冊ほどでしょうか。以前は週に10冊ほど読んでいた時期もあったので、2分の1から3分の1に減っています。

――睡眠時間を削って本を読んでおられるんですか。

僕は睡眠時間の確保を最優先しています。最低6時間は寝ますし、土日は講演会などがなければ、9時、10時ごろまで寝ています。ロングスリーパーです。

――それはますます不思議ですね……。

あなたは出社前や帰宅後に何をしていますか?

――ごはんを食べたり、風呂に入ったり、テレビを観たり、ネットをやったり……。

日頃外出している時間が多いこともあり、僕はテレビはここ数十年、あまり観ていません。ネットも最低限です。ツイッターもフェイスブックも発信に使うことがほとんどです。

――テレビやネットの代わりに読書されているということですか?

朝起きて、1時間かけて新聞を3紙読む。寝る前は本を1時間読む。これは「歯を磨く」ことと同じように、毎日の習慣になっています。

それから、電車での移動時間は、たとえ1駅でも本を読みます。僕は本が好きなのでそうしているのであって、テレビやネットが好きなのであればそれでいいと思います。

――でも、本を読んでいる人のほうが賢そうなイメージがあるんですよね。

ネットが好きな人にも賢い人はたくさんいると思います。

ただ、新聞や本を読むことのメリットがあるとしたら、それは「効率性」の高さにあります。同じ内容ならば、はるかに短い時間で、密度の高い情報を頭にインプットできます。

――効率性ですか……。アナログだけど、効率はいいんですね。

たとえば、アメリカの大統領が考えていることを知りたいとしましょう。テレビや動画だと探すのが大変で視聴時間もかかる。ワシントンに1カ月間ホテルをとって、毎日ホワイトハウスに通っても、会ってはもらえない。

でも、本なら800円ほど出せば、『リンカーン演説集』が買えるのです。一晩、リンカーンを独り占めできて、リンカーンの話が聞けるのですよ。

本は、この密度の濃さを「面白い!」と感じるから読むのです。そのためには、まず自分が面白いと感じる本を探して、読書の習慣をつけることが一番だと思います。

Answer:本の「効率性」に気が付けば、読まずにいられなくなります

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出口治明(でぐち・はるあき)
ライフネット生命保険会長兼CEO

1948年、三重県生まれ。京都大学卒。日本生命ロンドン現法社長などを経て2013年より現職。経済界屈指の読書家。

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