Android Studio 2.0がリリース、エミュレータの改良でビルド〜デプロイ過程を大幅に高速化 | TechCrunch Japan

Googleが今日(米国時間11/23)、同社のモバイルオペレーティングシステムAndroidのアプリを書くための統合開発環境(integrated development environment, IDE)Android Studioの、バージョン2.0をリリースした。

既製の人気IDE IntelliJをベースとするAndroid Studioは2013年に登場し、1年前にベータを脱した。‘統合’の名のとおり、そこにはコードエディタやコード分析ツール、GoogleのすべてのAndroidプラットホームのエミュレータなど、デベロッパがアプリを作るために必要なものがすべて含まれている。

ニューバージョンは現在、Android StudioのCanary(先行)リリースチャネルでプレビューを入手できる。

GoogleのAndroid StudioのプロダクトマネージャStephanie Cuthbertsonによると、2.0を作るときの基本方針は、これまでの二年間で築かれた現状を基盤としつつ、とくにスピードアップに力を入れる、だった。“使うことが楽しいIDEは、ただ安定しているだけでなく、すばらしく安定していなければならない”、と彼女は語る。しかし高度な安定性は、これまでのリリースで達成された、とチームは感じていた。

AndroidStudio2.0_InstantRun

今回のアップデートでは、たとえばデプロイのスピードを大幅に上げた。Cuthbertsonによると、フルビルドの場合スピードはこれまでより2倍ないし2.5倍速いという。デベロッパにとってそれはもちろん嬉しいことだが、今度のバージョンでもっと嬉しいのは、”Instant Run”という新しい機能が加わったことだろう。HTMLの場合は、エディットしてブラウザで読みこめばすぐに結果が分かるが、”Instant Run”はそれと同じ即時性をAndroidで目指している。ただしモバイルアプリの場合は、いくらビルドのスピードが上がったといっても、そのロードはHTML + ブラウザほど速くはない。

しかしInstant Runを使うと、エミュレータの上でも物理デバイスの上でも、アプリのビルドとデプロイを一度にできる。そして、コードの一部を変えて再デプロイすると、エミュレータでも実機でも数秒(2〜3秒)以内に、新しいアプリが動いている様子を見られる。この機能は、AndroidのIce Cream Sandwich以降のバージョンで使える。Instant Runの内部的な仕組みについては、今後詳しいドキュメンテーションを出すからそれまで待ってくれ、ということだ。

Androidのエコシステムはとても大きいから、デベロッパが自分のアプリを人気機種のすべてで開発の初期からテストしていくことは、ほとんど不可能だ。XamarinのTest CloudAWSのDevice Farm、あるいはGoogle自身のTest Labなどを利用すれば、完成間近のアプリをいろんなオプションでテストできるが、開発途上のアプリはエミュレータでテストすることが多い。Googleがこれまで提供していたエミュレータは、必ずしも、最速で使いやすいとは言いがたい(だからMicrosoftは自社製品をリリースした)。

AndroidStudio2_Emulator

しかし今回のアップデートで一新されたエミュレータは、今の最新のハードウェアの上なら、どんな物理デバイスよりも速い。インタフェイスも改良されたから、カメラで写真を撮るなど、モバイル上のいろんなアクションを、前よりも簡単に起動できる。ネットワークのさまざまな条件やGPSもエミュレートできる(後者では既製のパスも提供される)。エミュレータから、Google Playの各種サービスにアクセスできる。さらに便利なのは、想定する実機の画面サイズに合わせて、エミュレータのウィンドウのサイズを変えられることだ。

ゲームなどグラフィクスの多いアプリを作るデベロッパのために、GPUプロファイラというものが提供される。それは、画面に新しい画像や映像を描くときのパフォーマンスを調べるツールで、現時点ではまだプレビューバージョンだ。

AndroidStudio2.0_GPUProfiler_Preview

最近Googleは、アプリのインデクシングに力を入れている。それは、従来のように単なる静的コンテンツだけでなく、さまざまなアプリからの出力も検索の対象にしてしまうためだ。Android Studioのチームも検索のチームと密接に協働して、この機能を新しいアプリでより有効にしやすいようにした。そこで今度のエミュレータは、Google Search(検索)のためのディープリンクを生成する。

Android Studioを出す前のGoogleは、Eclipse IDEのためのツールをたくさん提供していた。でも今年になってGoogleは、そのやり方は今年限りでやめる、と発表した。今回プロマネのCuthbertsonも、この‘脱Eclipse’をとくに強調した。

今でも古いツールを使ってAndroidアプリを作っているデベロッパは少なからずいると思われるが、でも今ではGoogleの公式ツールの方が、IntelliJのアップデートをその都度すべて取り込むなどにより、断然良くなっているはずだ。とくにAndroid Studioの今回のアップデートではビルドシステムが大幅に改良されたから、Android用のほぼベストのIDE、と言えるのではないか。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。