中国のブタ体内から新たな耐薬性遺伝子発見、抗生物質の多用で世界への伝播も警戒=中国メディア | ニコニコニュース

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 中国メディア・参考消息網は20日、中国のヒトとブタ体内から採集した細菌から、抗生物質に強い耐性を持つ遺伝子を発見したとの研究結果を中国の研究者が発表したとする、英ロイターの報道を紹介する記事を掲載した。(イメージ写真提供:123RF)

 記事は、この研究結果が、中国の華南農業大学の研究グループによってこのほど医学誌「The Lancet Infectious Diseases」に掲載されたものであると紹介。研究は2011年から14年に中国国内4省で屠殺されたブタの体内や広東省広州市の露天市場、スーパーマーケットで販売されていた豚肉、鶏肉、および広東省と浙江省にある病院の感染症患者の体内から細菌サンプルを採取して分析を行ったとした。

 そして、分析の結果、発見された遺伝子「mcr-1」が強い抗生物質への耐性を示すとともに、大腸桿菌や肺炎桿菌など異なる細菌に容易に転移する恐れがあると説明。研究報告では今後この遺伝子が広汎な耐薬性を持つようになる可能性や、中国のみならず全世界に伝播する可能性も高いとしていることを伝えた。

 また、豪クイーンズランド大学の専門家らが「農業において抗生物質の一種であるコリンスチンの使用を制限しなければ、畜産物から人体へとつながる耐薬性伝播のチェーンを断ち切ることはできない」と警鐘を鳴らしたことも併せて紹介した。

 中国国内における抗生物質の多用は、医療機関での患者に対するケース以外に、畜産業においても問題となっている。畜産業者はより病気に強く、高く売れる畜産品を育てるべく抗生物質を多用するが、副作用を被るのは結局その肉を口にすることになる消費者だ。抗生物質に対する過剰な崇拝とともに、「儲けるためなら何でもあり」という業者の考え方を改めない限り、抗生物質の多様による人体や環境への影響を食い止めることは難しい。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)