習近平主席がノーベル平和賞候補に? 中国から推薦状「軍事的台頭の抑止にもなる」と主張、政府は「コメントできない」 | ニコニコニュース

サーチナ

 中国メディアの観察者網は16日、中国人民大学国際関係学院の王義〓教授はノーベル平和賞を選定するノルウェー・ノーベル委員会のオラブ・ニョルスタッド事務局長宛に出したとする「2016年のノーベル平和賞に、習近平国家主席を推薦する書状」を公開した。書状によると、王教授は推薦理由として、習主席が台湾の馬英九総統との会談を実現したことも挙げた。中国網によると、中国政府・台湾事務弁公室は25日の記者会見で、「仮定の議題についてはコメントを持ち合わせない」と述べた。(〓は木へんに「危」)

 王教授は推薦理由としてまず、習近平政権が進める「一帯一路」政策を挙げた。同政策は、中国と中央アジア、欧州、アフリカにまたがる経済圏樹立の構想だ。王教授は「平和的手段を通じて中国の生産過剰の問題を解決するものだ。生産過剰問題の解決に戦争という手段を用いるという第二次世界大戦前のドイツや日本の方法を避けるものだ」と主張。

 第2の推薦理由としては、習主席が30万人の兵員削減を宣言し、米国と「新たなタイプの大国関係」の構築を目指していることなどを挙げた。王教授は、習主席が世界と地域のために最大の努力と貢献をしていると主張した。

 最後の推薦理由として、台湾の馬英九総統との会談を挙げた。王教授は、双方の政治指導者の会談は台湾海峡の平和の発展を「不可逆」に進め、台湾海峡の争いがきっかけとなり米中が「衝突が爆発」する根源的原因を取り除いたと主張した。その上で「韓国の金大中大統領が2000年、(北朝鮮の)キム・ジョンイル(金正日)総書記と会談したことで、ノーベル賞を受賞した」と指摘した。

 観察者網によると、16日の推薦状掲載までに、王教授はニョルスタッド事務局長から「あなたは政治学、国際政治を専門とする教授であり、(候補者を)推薦する資格を具えています。機会があれば、会ってお話ししたい」との回答を得たという。

 ただし王教授の書状の後半には、やや奇妙な書き方もある。ノーベル平和賞と文学賞は「西側諸国のゲーム」、「大きな政治的役割がある」と論じた上で「(中国の)外部の人は中国の軍事的台頭を非常に心配しているから、習先生の名を挙げるのは難しいかもしれない。しかし、賞を授ければ抑止力になります」などと書いていることだ。「中国が軍拡路線を歩んでいるのは事実」との読み取れる内容だ。

 観察者網が上記文章を掲載した頁は25日現在、閲覧できない状態になった。中国政府・台湾事務弁公室の25日の記者会見で、香港メディアの記者が王教授の推薦状について「(ノルウェー・ノーベル)委員会は前向きの回答をした。あなたはどう評しますか」と質問したところ、同弁公室の安峰山報道官は「仮定の議題についてはコメントを持ち合わせない」と答えた。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:CNSPHOTO)